乗れば、天空へ行ける高原列車
東京を起点にV字に長野に向かう、中央本線と長野新幹線・しなの鉄道。
高地で、中央本線の小淵沢駅と、しなの鉄道の小諸駅を結んでいるのが小海線。高原列車です。小海線に乗ると、自然に歌っているのが、「高原列車は行く」。
古い人間で。
車窓の眺めは、歌詞どおり。無いのは、花束を投げる牧場の乙女だけ。
乗るようになって、初めて時刻表を入手しました。
小淵沢駅へ向かうのが上り。小諸駅へ行くのが下り。1日25本ほど走る。内、始発駅から終点駅まで走るのは、9本くらい。
ダイヤを見ると、圧倒的に小海駅・中込駅〜小諸駅が多く、つまり中央本線寄りは過疎ということがわかる。
清里駅は、中央本線寄りですから、小諸駅へ向かうには2時間に1本ということになります。
12日は下り、13日は上りで小海線に乗る。「高原列車は行く」を歌いながら運転席、車掌席も覗く。
2両編成ですから、我が家みたいな列車。
基本は、運転手だけのワンマンです。無人駅も多い。路線図を見る。
・野辺山駅 JR線最高地点。標識の回りで記念写真の人々多し。
・信濃上川駅 千曲川の源流がある。日本海から遡ること367km。これから行ってみたい。
・松原湖駅 8月に行きました。冬のワカサギ釣りが有名。
・鶴岡城駅 函館と同じ、星型の洋式の城郭がある。
・滑津(なめづ)駅 擬洋風建築の旧中込学校がある。
何年かかっても、一駅ごとに降りて四季ごとに散歩したいところばかり。
高原列車という言葉の響きには、おもちゃっぽい、遊園地っぽいイメージがありますね? 猿の運転手と、鹿の車掌と、イノシシの駅長みたいな。
中込駅から、車掌が乗り込んでくる。このあたりから、乗客が増えてくるからだろう。若い車掌さんは、子鹿のようだった。
13日、小諸から19:04小淵沢行き最終便に乗る。
高原列車は、高校生の専用列車の様相。とにかく、彼らはしゃべりっぱなし。動きっぱなし。笑いっぱなし。
「最初はグー、じゃんけんぽん」
「このスマホ、すごいんだ」
「はい、口を開けて」。4粒入ったオレンジガムを、投げて相手の口に入れるゲームを始める。
「今日の練習は、きつかったぁ」。50mのインターバル走が〜と聞こえたから、これ陸上競技の彼。
締めているネクタイを外して、輪投げを始める。
つり革が下がるバーで、懸垂回数を競う。
笑いながら、男子の頭をオモイッキシはり倒す女子。
青春は、忙しいんだ。
駅間の距離は、東京の電車の10駅分くらいあります。でも、見てるだけで退屈しない。
もう、あたりは真っ暗なのに、気分は「あこがれの郵便馬車」。
緑の丘をはるばると、うれしい便りがやって来る。
去年も、この歌聴きました。古い人間ですから、繰り返す。