規定と自由演技、陶芸教室パート2

粘土は、カタチが自由に操れるところがいい。

陶芸教室・入門クラスは、6つの規定作品を作らなければなりません。

筆立て・花筒・小鉢は、昨日書きました。続いて、湯のみ・壺・徳利。

もう、ネーミングがご隠居でしょ? 年齢制限してるわけじゃないに。

なにしろ、会場が世田谷区シルバー人材センター烏山支部。日曜の午前9時開始。いきおい、先生を含めて参加者は年寄りが中心。パラパラと、30〜40代もいますが。

湯のみ・壺・徳利を作っても、所詮、そういう使い方はしないので、すべては花器になる運命。

だって、それしか使い道ないでしょ? タヌキみたいに、徳利を下げて酒屋に「1合半ください」とやります? 徳利でお燗します?

入門編も後半になると、タダの円筒形に変化技が加わります。

黙ってやっていても、変化に合わせて、使う道具も増える。僕は、黙ってやらないクチなので、「この場合は、どうするんですか?」と、小平先生に訊く。

この人、元は証券マン。同じ金融業界でも、銀行員とは正反対で、べらんめいです。言いたいことズケズケ言いますから、慣れるまで時間がかかる生徒もいます。

壺をやっていた時、口をきれいに水平に整形するのに飽きたから、凸凹に作る。

底を安定させる高台(こうだい)を削ろうとひっくり返して、ハタと困った。「どうやって、ろくろに乗せればいいんだろう?」。

「『しった』を使って」

「なんですか、それ?」

作品を支える、カマドのようなもの。これで支えて、底を加工する。これさえあれば、口がどんな形状をしていても、おかまえなし。

便利な道具。直径サイズ、深さに各種あり。

「『しった』って、どういう字を書くんです?」

「知ったこっちゃない」。

そうですか。なんとなく、民謡を聴きたくなる気分。ロッホ・ローモンド

も一つ、覚えなきゃいけないのは、釉薬の種類とかけ方。

単純に1色もいいけど、色半分ずつとか、垂れ流すとか、生地を活かしてかけないとか、いろいろ遊べる。

ところが、色と釉薬の名前が一致しない。焼成すると、どの色が強く出る・弱く出るがわからない。

何が言いたいかというと、結局、全体が1色で焼き上がり、苦労が反映されないのだ。

そうとう、ガックシしました。

教室は、3時間あります。

必ず、途中で1回休憩してました。小学校の校庭にあるような水道栓をひねり、頭から水をかぶってました。

なにしろ、毎回暑かったから。

そこで、いつ作るかわからないけど、とにかく、実用品じゃない物を作りたくて、描いたスケッチを点検しているうちに、頭が乾く。

さんざ円筒形を作って来たことが、これからも活きることに気付きました。

映画監督のディビット・リンチは、コミックも描いていたので、その登場人物を陶器で作ることを思いつく。

作っても、用をなさない。だから、作りがいがある。そんなコピーが、ファイルとして溜まってます。日に日に増える。

ホフマンの舟歌」を聴いていたら、ゴンドラも作りたくなった。船縁の曲線がきれいだよねぇ。

粘土的。

ちなみに、粘土の表面を削ったり、穿ったりする道具のことをカンナと言います。ピンポイントから幅広いものまで、いろいろ揃ってる。

木のゴンドラ作りも、いろんなカタチのカンナがありそうだね。