小布施は、東京人を惹き付けるね
栗と北斎の小布施紀行、9月13日の巻。
町内と、近郊の岩松院・浄光寺はシャトルバス「おぶせロマン号」でつながってます。時刻表を見て、来るまで周囲の風景を見やる。
時間になってもバスが来ない。「やることが、のんびりしてるからね」と、30分ほど待つ。時刻表の上の、赤字を読んでませんでした。
※9月15・16日 ※10月6〜8日 ※11月24日
休む日ではありません。9月〜11月の運行日。そうですかぁ。
町にもどって、前日12日の夜に入手したチラシ「妖怪夜会」の会場をさがす。なにしろ、「闇に潜む妖怪に出会う」「浮世絵・絵巻・和本から見る妖怪」ですから、捨ておけません。
会場の「高井鴻山(こうざん)記念館」、すぐ見つかりました。
やってませんでした。チラシ再見、9月17日だった。
講座は聞けませんでした。ところが、展示は常設展だったので、屏風に描かれたお化け群像をたっぷり見る。
筆致が、おとぼけ。いっぺんで好きになる。知らなかったねぇ、高井鴻山。
所蔵されている場所は、蔵の様子。
外に出てあらためて周りを見渡すと、整備された庭あり、井戸あり、蔵あり、日本家屋あり、歩廊あり、板塀あり。何なの、この一画は?
「高井鴻山記念館」、これすなわち「翛然楼(ゆうぜんろう)」という名前の私邸。もともとは、間口54m×奥行144mの広大な屋敷。
高井鴻山は、江戸期の豪農・豪商だった高井家の十一代当主でした。15歳から16年間、京都や江戸で遊学した坊ちゃん。
つきあった人々が、広い。交遊関係図を読む。
が、・志士関係 ・新政府関係 ・商業関係 ・金融関係 ・郷土関係。僕は、みごとに知らない。
・幕府関係 名前は聞いたことあるのは勝海舟 小栗忠順 山内容堂。他、不明。
・知友関係 同じく名前だけの大塩平八郎 佐久間象山。他、似たりよったり。
・書画関係 谷文晁 川鍋暁斎 山岡鉄舟 高橋泥舟 葛飾北斎 葛飾栄(息女)。
政財官学界から、文壇・画壇までずら〜り。なんですか、この人。
大実業家の祖父は、天明の大飢饉に蔵を開き、幕府から名字・帯刀を許された慈善家でもあった。
碧漪軒。これ、なんて読むんでしょう?
へきいけん。
庭内にある文庫蔵・屋台蔵・穀蔵の合間に、ポツネンとある一軒家。
江戸から来た北斎を迎えるために、鴻山が用意したアトリエだったんです。岩松院本堂の天井絵「八方にらみ鳳凰図」その他、町に残る絵のデッサンを、ここで描いていた。
北斎が下絵を描き、鴻山が完成させた絵もあります。そのくらい、2人はウマが合った。
「北斎先生」と呼びかけ、「なんでしょ、旦那様」と応えた小布施での6年間の日々。
ところで、9月30日のブログ覚えてます?
駅舎で織物教室をやっていた先生。宿探しで困っていたところに、クルマでユースホステルまで送ってくれた親切な人。
佐々木さん。
ずっと東京住まいで、10年ほど前に小布施に移住しました。その理由。
彼女の旦那さんが、高井鴻山の子孫と知り合い、「鴻山を研究してみませんか?」と誘ったので、思い切って引っ越して来た。
確かに、研究意欲をそそる無辺の鴻山はすごい。でも、佐々木さん夫婦もすごい。
71歳で35作目のアルバムを出したボブ・ディランもすごい。