お金儲けより、自分の思い入れ
写真史を読むと、ダゲレオタイプという言葉が出てきます。
1839年に、フランスで始まった写真。それがダゲレオタイプ。金属板に感光させた。
そこまでは、写真のイロハ。じゃぁ、実際にどうやって撮影・現像したのかとなると、当時の写真は骨董市などで見られますが、作業がわからない。
いや、本に理論・工程は書かれてます。でも、著いてる本人も、受け売りで原稿化しただけとわかったのが、7月21日。
この日、新井卓兄さんは講演で「試行錯誤の連続でした」と言ってたから。
四捨五入して200年前の写真技術を、今再現しようとすると、新しい発明をするくらい「よう、わからん」ことだらけ。
10年独学して、現在ダゲレオタイプで撮影してる。1枚しか撮れない。現像する時に、毒ガスが出る。モデルになってくれた人に写真をあげるので、手元に作品が残らない。
デジタルで無限に撮れる世の中に、あえて、こういうことをやるのは、たいがい若者。防毒マスク付けて、教わりたいよね。
11月4日まで、ライトボックススタジオ青山でやっていた「現代手工業乃党」の展覧会も、「あえて・わざわざ」やる若者たちが集まってました。
好きなんだ、「あえ・わざ」。
これ、何だと思います?
「ロックが好きで、エフェクターを作りました」と(有)スラップトーンの平山兄さん。デザインの主旨は、もちろん二眼レフカメラのボディ。
黒いザラザラした材料を、見つかるまで探す。
そこまでして製品は、エフェクター以外にもありました。シンプルでレトロで、かつての工場にあったようなスイッチ類。パネルとつまみ、1セットで1万円。
施主が名指ししなければ、取り付けないシロモノ。
まぁ、「現代手工業乃党」のメンバーの作品は、すべてに同じことが言えます。つまり、格安大量生産品と真逆の、デザイン強調商品。
「かなぐや」の太田彩子さんのは、建築・家具金物。確かに、手づくり品ですから金属の光が違う。これ一つで、ドアが引き締まる。
岐阜から来たのは、石材の大岩さん。
話を聞いていると、石は木と同じだとわかる。呼吸し、年輪があるんだ。ウォータージェットという高圧水で、切断する。現場を見てみたい。
木工職人の淡路さん。
「特注家具も作るんで、渡り職人のような」と笑う。いいでしょ? 道具をまとめて、さすらいの職人。左甚五郎みたい。
素材別で、一番多かったのは鉄。
弱いんだ、鉄製品は。店舗で、鉄むき出しのディスプレイを見るだけで幸福。
「現代手工業乃党」党首は、(株)エグジットの清水さん。金属の什器をつくってます。デザイナーのプランにあわせて加工しますが、自分たちでデザインもする。
ほっとくと、ジュラルミンでスケートボードなんかも自作する。「この板だけで、10万円します」。金属扱ってると、やってみたくなる気持ち、わかります。
メタル遊び。
なかなか機会に恵まれませんが、いつか鍛冶をやりたい。やりますよ、トンテンカン。