ココプリに誘われたか、新石器時代人
まず、水中遺跡のニュースから。
長崎県松浦市鷹島神崎(こうざき)遺跡が、日本初の国指定史跡になったこと。
海に眠る遺跡は200件もあるらしい。
タイタニック号ほど有名ではないけれど、遣唐使船もある、元寇もある、バルチック艦隊もある、戦艦大和もある。江戸・明治期に外国から来て上陸目前で沈没した船だってある。
水中考古学後進国の日本。お楽しみはこれからだ。
とロマンチックに夢見てると、ブッシュ・ミートのニュースが飛び込んで来ました。
「茂みの肉」。アフリカの話。コンゴ・カメルーン・中央アフリカのまたがる熱帯雨林に棲むウシ・イノシシ・ワニ・カメ・サル・チンパンジー・ゴリラ・ゾウ。この肉が、ブッシュ・ミート。
絶滅危惧種もいる。でも、住民は野生動物を全部食べちゃう。昔からの食習慣だし、第一値段が安いから。
森林省と野生動物保護協会のパトロール隊が取り締まっても、追いつかない現状。ゾウを殺すと禁錮5年、ゴリラなら2〜3年の罪があるのに。
密猟者は、トラックの荷物の陰やボンネットに隠して監視の目をかいくぐる。
でね、ここからまた得意の妄想が始まる。ライフルじゃなくて、槍や弓ならいいのに。
南アフリカの地層から、人類の祖先が使っていたと思われる長さ3cmの矢じり細石器が出土したニュース。
7万年前の話。「狩りだけでなく、ネアンデルタール人との戦いに使われた可能性がある」と英ネイチャー誌。
ようこそ、センパイ。ネアンデルタール人。
約20万年前に出現し、2万数千年前に絶滅したヒト属の一種。あたしらホモ・サピエンス にもっとも近い近縁種。両者は、同時代に生きていたんですね。
音は、ダイナソーJr。
とっても昔ばなし。
○万年前のこと、10月26日に大手町の日経ホールで聞いてました。大阪から出張してきた国立民族学博物館「みんぱく」が開いたシンポジューム「だから人類は地球を歩いた」。
大手町ってぇとこも、巨大ビルばっかで覚えられない場所だよねぇ。
案内板を見ると、皇居・大手濠の向かいに三井物産ビルがある。毎年恒例、カルガモ一家の引っ越しを思い出す。物産ビルの隣に日経ビル。いつの間にか、JAビルと経団連会館とつながったトリプルビルになってる。
これで容積率に余裕ができたのか、吹き抜け空間もたっぷり。モニュメントも気宇壮大。
気宇極細の僕は、入り口でメモ用の4色ボールペン+シャープペンシル(見たことない!)をもらって、幸福。
さて、ホモ・サピエンス。6〜8万年前にアフリカを旅立ち、ユーラシアを超えてアメリカ大陸や太平洋諸島まで進出した人類大移動。
大筋では、皆さんご存知。
1.3万年前には、南米チリに人類がいた。4.5万年前と3300年前に、オセアニアに移動した。
どんな方法で、何を求めて?
極寒のベーリング海峡、2万年前は地続きだった。とはいえカナダは氷床だった。だから、たぶんカナダ西海岸に沿って南下しただろう。そこから、アメリカへメキシコへ南米へ、そしてイースター島へ。
体長2mのアルマジロなど、巨大ほ乳類がいたことは確認できている。それが、食料だったのかもしれない。ブッシュ・ミート。
一方のオセアニア。
広ろうござんしてねぇ、南太平洋は。北西がミクロネシアで、南西がメラネシア。東側はポリネシア。
4.5万年前は、旧石器時代人。東南アジアから目視できる対岸まで、ちょっとずつ移動するも、オセアニアの手前ボルネオくらいで止まる。
3300年前は、新石器時代人。こちらは、ハワイ・タヒチ・トンガがあるポリネシアまで進出し、一部はアメリカ大陸に上陸した。
そこは大洋だから、双胴のカヌーやアウトリガーの付いたカヌーを使って。
新石器時代人は、農耕民族だったのでタロイモなど植物栽培をし、ニワトリ・ブタなど家畜も育てた。
話を聞いてると、最近の考古学は遺跡を掘り出すだけじゃないんです。祭祀、気象、食物、動物、地質、人類、地理、海洋、伝染病とあらゆる学問が総動員される。
食料を求めて、というような実利を求めて計画的に移動することは、もちろんある。
しかし、アフリカから太陽が昇る東方へ行きたがったのかもしれない。
ふとした気まぐれが、何かを象徴してるのかもしれない。偶発的に行ってしまったら、そこで何かが起きたのかもしれない。
わからないから、さぐろうとする学問。この冒険心は、新石器時代人に似てるな。
謎が、俺を呼んでるぜ。
民族雑貨屋・マライカ青山店で買ったコンチョ。スペイン語で貝殻。転じてボタン。柄に名前がある。
「ゲッコーと、グラスホッパーと、ココプリです」
「ココプリって、何ですか?」
「精霊のことです」。