鎌倉時代の芸能、説教節を体験する

土曜日に、「音だっち」ツネツネと「カメだっち」は音遊びをしていたらしい。

友だちのカメラマンが40年間撮りためた写真に、音を付けると、イメージが広がる。

・モノクロスライド写真youtubeにアップしたので、ぜひ、ご覧ください。

どうでしょう? 

写真が具体的に感じられませんか? もの言わぬ写真が喋り出す。音は音で、写真の風景を旅しているように感じる。

おもしろいねぇ。

板橋の風景は、世田谷と似てました。都会の田舎。住宅の隙間に畑がある。

降りたのは東上線東武練馬駅

「徳丸循環バスのバス停は、どこですか?」と駅員に尋ねる。待てども来ない。改めて、時刻表を見ると、午前中の時間帯に分数は表示されているが、午後に数字がない。

なんじゃ、こりゃ? 午前中しか運行しないバスなのか?

午後は、道路の反対側を通るんです。言ってる意味、わかります? 同一コースを循環するバスなんですが、午前と午後で回る方向が変わるバス。時計回りと、反時計回り。

初体験。

着いたバス停が、北野神社。脇にあるのが、板橋区郷土芸能伝承館。

・東京文化財ウィーク2012企画 第17回三代目若松若太夫独演会

皆さんは、説教節ってご存知ですか? 

小沢昭一さんが、かつて日本の伝統芸能を取材・録音したことがありました。1970年代の活動。当時ですら、風前の灯と言われた、全国の土着の芸能。

そこで、初代の若松若太夫さんのCDを聴く。

もともと芸能の始りは、怪しい。武力や法律や行政が統治ができない場所で生まれる。

たとえて言うなら、河原とか自由市場とか教会・神社・寺院のような所。学問上では、アジールと呼ぶ。好きなんだ、アジール

説教節もアジールで生まれた。鎌倉時代に、仏教の経文や教義を説いて民衆を導く活動が、浄瑠璃のようなストーリーを語るようになる。三味線付きで。

9月30日に、初めてナマで説教節を聴きました。浄瑠璃は、声を伸ばすので何を謡っているのかわからないところがありますけど、説教節は聴き取れる。

三代目若松若太夫兄さん。地下水脈のように、説教節は生きていたのだった。

17日の会場は、これまた老人会の集まりのようで最高でした。

「とざい、とうざい〜」と口上を述べるのは青木久子さん。9月の時と同じ。

元、看護婦さん。

仕事をしながら説教節に魅入られて、現在も若松会の公演では、MCだけでなく、効果音も担当する。

演目の始りに柝をいれたり、盛り上がる場面でほら法螺貝を吹いたり、鐘を鳴らしたりする。

今回は、3演目。

・さんせう太夫一代記 鳴子唄 親子体面の段

「安寿恋しや、ほうやれほ〜。厨子王恋しや、ほうやれほ〜」の山椒太夫の物語。鴎外の小説で有名です。元々は、説経節の「五説経」と呼ばれた演目の一つだった。

義経主従一代記 安宅の関 弁慶勧進帳の段

歌舞伎十八番。「『安宅の関』というのは架空の関所で、新潟から山形を超えた『鼠ヶ関(ねずがせき)』が本当と言われてます」と、青木さんの説明。

鼠一匹通さない関所、という意だった。

・石童丸 山廻りの段から 札所の段まで

九州の侍、加藤左衛門重氏は、この世の無常を悟って出家する。13年後、父親を知らない息子の石童丸は、京都の高野山へ探しに出掛ける。そこで、一人の僧と出会う。

「長野県の西光寺には、『刈萱(かるかや)親子地蔵尊』があります」と、ここでも旅案内する青木さんだった。

善光寺の近くの寺というから、そこでも聴きたい説教節。三代目若松若太夫さん1月の公演は、小栗判官とかをやるらしい。

能・歌舞伎・浄瑠璃・落語と共通の芸能なんだなぁ。