切られた足が宙を飛ぶのが、歌舞伎
iPhotoの日付を見たら、撮ったのは9月2日。
来年4月開業する、東銀座の歌舞伎座。ほとんどカタチになってました。
すでに10月末で締め切ってますけど、その頃「皆様が見たい演目」を募集していて、抽選に当たれば開場式典に参加できるという。
「参考までに」と代表的な演目一覧が、やたら細かい字で羅列されてました。妙に意地になって、上から下まで這うように読む。
ざっと、200演目。見たのは、両手の指で数えられる程度。名で、「どんなんだろう?」とくすぐられた一覧五十音順。
刺青奇遇 浮かれ心中 馬盗人 蜘蛛の拍子舞 暗闇の丑松 黒手組の助六 小猿七之助 関三奴 らくだ
極悪、まぬけ。っぽいのがいい。
やはり、名前に左右される。
歌舞伎座の難点は、料金が高いこと。安い一幕見もありますが、通じゃなきゃ、そこまではしない。わかってないのに、全体を見たいと欲張るのはシロウトの常。
「浮世柄比翼稲妻 うきよづか ひよくのいなずま」。禍々しくて、いいでしょ? この名前。
国立劇場の広告を見て、一番安い1500円の席を予約。鶴屋南北だから期待大。
お家乗っ取りをたくらみ、人を殺し、あまつさえ殺した子供の恋人に横恋慕する極悪人、不破伴左衛門。
松本幸四郎丈が演りました。
3階席は、声をかける人が多い。「文化功労者ぁ、まずはめでたい」。
二幕目が「鈴が森」の場。
大森にあった刑場、鈴が森。生い茂る雑草にたむろする雲助たちは、道ゆく人になんのかんのと因縁つける。
白井権八、登場。とりかこむ雲助たち。からまれるのを避けようとするも、なおしつこいごまのハエ。権八、彼らを切って捨てる。
切られた雲助たちの動きがコミカル。
切られた足が、宙を飛ぶ。腕が切られると、腕がころがる。顔を切られれば、そぎ落とされて全面真っ赤。人間漫画。
彼らを片付けて、立ち去ろうとする。
「お若ぇの、お待ちなせぃ」。この場面だったんですねぇ、有名なせりふは。
幸四郎丈、2役目の播随院長兵衛。かっこいい。
静止画なんだと感じる場面。
歌舞伎は約束事でできている。背景、道具立てに、登場人物の衣装、化粧、せりふ、目配せ、見栄。すべてが、グラフィックデザイン。
名場面の浮世絵があるでしょ? 違和感を感じないのは、舞台は静止画が動いてるだけだから。パラパラ漫画の豪華版。
国立劇場12月は、中村吉右衛門丈の「鬼一法眼三略巻(きいちほうげん さんりゃくのまき)」。
平清盛、源義経が登場する説話。とチラシになけりゃ、とても彼らが出て来る舞台とは想像できない。
演目名だけで選んでちゃ、だめなんだね。
キリンジを聴く。