手裏剣に夢中で、いいじゃないか

毎週通っている陶芸教室の会場は、シルバー人材センターにあります。

第1回目に訪ねた時は、年寄りに仕事を斡旋する機関で、なぜ陶芸教室をやるんだろうと、不思議でした。今も不思議です。

あっ、もしかすると先生に授業料が入るから、立派な仕事斡旋なのかもしれない。定年後、趣味ではじめた陶芸も5年10年やれば、ちょっとした収入になるってこと?

先日、初めてシルバー人材センターらしい風景を見る。敷地で、3人が包丁を研いでいる。

粘土遊びを中断して、見てました。

「センターの事業でやっているんです」。1丁300円で、研いでくれる。ゆくゆく、鍛冶をやりたいので興味がある。

「魚屋とか肉屋とかで、店を息子にゆずったので」と、納得する理由を語る。研ぎ師も、前歴が包丁を使う職業だった。ゴシゴシ砥石にこすってりゃいいってもんじゃない。

荒砥、中砥、仕上げ砥と、紙ヤスリと同じように番数で何本も用意している。刃物をわかってるから、傷み具合に合わせて丁寧な仕事をする。

刃は、石に斜めに当てるとばかり思ってました。垂直に立てて前後させるケースもある。

「刃がこぼれちゃっているので、まず、そこまで均一にしないといけない」。うれしいでしょ、ここまで道具を活かす。

刃物研ぎって、外国でもあるんでしょうか?

清里から帰って、新聞のイッキ読みしてたら、塩野七生さんの国際交流基金での講演録が出てました。

現代日本の停滞は、純粋培養された人材が組織から飛び出さない大企業病に原因がある

侠気のある人ですからねぇ、彼女は。まず、持論を展開する。

・国際交流といっても、なかなか難しい。政治交流は、民主制かどうかの政体が壁。経済交流は、搾取されると感じれば進展しない。技術交流は、ノウハウを盗まれると気が気じゃない

・唯一、文化交流は便利だ。国籍も宗教も関係なく、ただ、好きか無関心かだけ

ここからですよ、女史が冴えてるのは。

・日本文化という商品を知らなければ、販売戦略は生まれない

・次に、戦略を考える総合職と、実行に移す一般職に分けること

・そして、創作者とそれを売るプロを組織に中に加えること。国際交流基金の学者と官僚からすると異分子だが、加えないと新しい文化も改革も生まれない。

古代ローマを永年研究してきた、組織の活力論。異分子が刺激を生む。

不在中に、届いていた「山下知緒 手裏剣道 験流手裏剣術入門」。販売は、(株)クエスト。

キャッチフレーズは「手の内の剣 その精妙なる剣理」。とうとう兄さん、DVDデビューしました。

忍者映画に出て来る手裏剣ですよ、お客さん。シュリケンShuriken

剣道・居合い道から始まって、とうとう手裏剣まで到達しちゃった兄さん。この突き抜け感が最高でしょ? 

僕は、生き方がへなちょこです。でも「武道で心を高める、深める」人と仲良くなれます。かっこいいんだ。身体芸術だから。

でも、そこは友だち。55分間、口元がゆるみっぱなし。

教えて、授業料もらうことも少しは経験したけど、「自分の鍛錬のほうが先」と、教室はやめてしまった。

それくらいの、求道者。真面目に取り組まないと、ユーモアは生まれない。

・手裏剣術を身につけることは、身の回りにあらゆることから、剣の速さや鋭さを引き出すことが出来るようになることである

・それは「剣を選ばない」という意味で、無刀の境地である

DVDは、日本語版ばかりでなく英語版もあります。

国際交流基金は、1万本ほど購入して在外大使館・大学・公立図書館・日本語学校・武道学校・旅行会社に寄贈すべし。

これがほんとの、クロスロード

山下知緒兄さんの飛翔、暁に祈る。