森の里2012最終案内 その24日の2

「皆んな、どこに消えちゃったんだよぉ」。

檻を覗けど、どこにもいない。むなしく、ネームプレートがあるだけ。

ハクビシン、ホンドテン、ムササビ、ジェフロイクモザル、アジルテナガザル。

インコやフラミンゴやライオンもいるというけど、それは見なくてもいい。なんとなく、その他大勢の動物を見たい。

アジルテナガザルの檻の前で、しばらく立ってました。

・アジルとは、「すばやい」という意味。マレー半島スマトラ島ボルネオ島に棲息。

熱帯から来たんじゃ、小諸は寒かろ。

・長い腕を使って木から木へ。主に木の実や果実などを食べる。太い枝の上では、2足歩行もする。

・「ほ〜ぅ、ほ〜ぅ」と大きな声を出して、縄張りを宣言する。

と読んでいたら、檻の中で動く気配がしたので慌ててカメラを向けるも、撮れたは尾っぽだけだった。

はしっこい奴め。

地方にある、チョワチョワと情けない動物園っていいよね。

ここは、小諸市動物園懐古園の敷地の中にありました。

千曲川を望む、城址。実際、千曲川が望める富士見台に立つ。午後の光を浴びて「やっぱり、天然の要害を利用して築城したんだなぁ」とふける。

すると、ペコちゃん顔の男が一人、こぼれんばかりの笑顔でカメラを手に走って来た。

富士見台からの眺望を、写真にしたかったのでしょう。

天守台にもどる途中で、女の人に会う。

「旦那さんですか?」

「そうです」

「うれしそうな顔してましたよ」

「もう、光を見ると夢中になっちゃうんです。小学生みたいに」。

わかります。男は、死ぬまで小学生でいいの。

絵に描いたような風景とは、このこと。我ながら、恥ずかしくなるような、決まりキントキ写真を撮る。天守台からせり出す松。

古城を歌う。首が、こころなし震えて調子も最高潮。

音といえば、庭内で流れていたのが草笛。

横山祖道なる老師は、毎日ここで草笛を吹いていた。演奏機があって、彼の復元した草笛を聴きながら、石垣を眺める。

もらったチラシを読むと、石垣は野面積(のづらつみ)という工法らしい。

江戸城の石垣のように、表面が滑らかじゃない。そういう工事ができなかったのか、野趣を取り入れたからなのか?

でも、忍者が登ってくるには凸凹があるから便利。

鏡石ってのもありました。

武田信玄の軍師・山本勘助が愛用してたという石。ほんと、鏡になるほどクッキリ写る。

最後は、やっぱり島崎藤村の「千曲川旅情のうた」ですかねぇ。例によって、歌碑は達筆な草書なので読みくだせません。

そろそろ、待ち合わせの岩村田駅に移動しよう。