見たいから撮る、売れるから撮る
清里から持って帰った苔、枯れてません。
花屋に苔玉が売られるようになったのは、10年前くらいからでしょうか? 松や梅の盆栽とは違う、何かありそうで好きになる。
最近では講習会も行われるほど、手堅い人気です。
粘土遊びをやるようになって、苔玉の器を作るのもおもしろい。でも、肝心の苔をどこで入手すればいいのかわかりませんでした。
清里には、日陰という日陰に苔が生えている。樹木にも、岩石にも、道路にも。ありすぎるので、意識しないと目に入ってこないほどに。
これを剥がす。
一面苔ですから、50cm程度のものは簡単に採れる。むしろ、そんなに大きくなくてもというほど剥がれる。
野性ですから、肉厚でもある。3cmはある。
持ち帰る段になって、はたと困る。どうやって運べばいいんだろう?
苔って、繊細な植物のイメージがあるでしょ? 手入れしないと、すぐ死んじゃうような。
だから、新聞紙を充分水に濡らして包み、タオルをかぶせて、さらにゴミ袋に入れ、最後には洗濯物の下着を何重にもくるんで持ち帰りました。
東京で鉢に植え、掌でクッションを確かめてます。鉢は直径30cmあるので、状況は、苔玉というほどカワユク無い。
創元社刊「世界で一番美しい果実図鑑」見ました。
イギリスのキュー王立植物園の研究者も参加した図鑑。種子形態学って、そんな微細な学問があったんですねぇ。
撮影した写真家もすごい。ロブ・ケスラー。
走査電子顕微鏡で撮った果実の写真。
肉眼では見られない果物の構造は、原子核のようであり、昆虫のようであり、岩石のようであり、火山のようである。
仮面、絨毯、深海魚、星座にも見える。大地と太陽が作った造形は、人間が想像する形をやすやすと超える。
デザイナーは、アイデアに困ったらこの図鑑を見たほうがいい。見たことない線とパターンと色の宝庫。プペニチェクのごとし。
苔を走査電子顕微鏡で撮ると、どんな形が現れるのだろうか。
図鑑を見たのは、駅前3分の渋谷・大和田図書館。芽みたいなモニュメントがありました。
「芸術新潮」10月号も見てました。特集は、篠山紀信さん。「写真力」ってなんだ!? って堂々100ページほどの大特集。
日本写真業界一人勝ち、の感がある兄さん。何か、特別のことがあれば、彼に撮影を依頼するのが常識なんでしょう。
被写体にもともと情報発信力がある人を撮るんだから、これは鬼に金棒。
並の写真家は、被写体を写真家の個性で撮る。カメラ小僧は、違うの。個性がないの。作家性がない点で、後年語られる写真家。
年齢を重ねれば重ねるほど、人は個性から抜け出せない。だから、希有の人。100%他者依存で、充分巨匠になれるってことなんだね。
3000分の1秒で撮ったマラーホフの写真がありました。
知らないよねぇ、マラーホフ。
光と影とか、時代を切り取るとか、時のまなざしとか言ってないで、各界有名人を探して交渉するほうが先だと思うのですが写真家諸士、諸嬢。
マーケティングは、モノづくりに大事だよ。