味をうんぬんするほど、わかってないが

今年は、畑を見るのが好きになった年です。広い畑に立ち、黙って見てるのが好き。

傍観者ですから、いろんなこと想像しますよ。

春夏に野菜を育て、秋冬は休耕。スポーツ選手にたとえば、転戦するシーズンと、シーズンオフのようなもの。

シューマンこの曲なんか、いかにも畑っぽい。

あ、そうだ。

畑のまわりにスピーカーを立てて、こういう曲を大音量で流すと野菜の育ちも違うんじゃないか? 苗が、みんなニコニコごきげんになる。

「食卓のタネあかし」なる記事を読む。

新聞の見出しって、けっこうダジャレ多いよね。犬の記事ならワンダフル。猫の話題ならうれしいニャー。これって、男50代デスクのセンスで朱筆を入れるからなのか?

若手記者が嫌がっても、断固これ。

さて、日本の野菜の種は、ほぼ全量が外国産だという記事。

話は1966年の野菜生産出荷安定法にさかのぼる。地方ごとに産地を指定して、主な野菜の生産にばらつきがないようにした。

そこでは、成長が早く、収穫が安定し、形がそろった品種の種が求められた。

工業製品化する農業の始り。

1960年代から2000年代に、地球の人口は2倍になった。餓死者が出ないのは、穀物生産も2倍になったから。

めでたし、めでたし。

にならないのは、まず作物の遺伝的多様性がなくなるということ。

たとえば、20世紀にトウモロコシ品種の9割が絶滅。動物は話題になるけど、穀物も同じだった。

採種地で有事が起きると、当然種を入手できないのも問題。種と肥料を扱う多国籍企業の寡占化も問題。

現在の種は、異なる性質の親株を人工的にかけ合わせて作る。それは、一代限りの作物しかできない。日本の種苗会社、サカタもタキイもそれを外国で作っている。

卸売り業者は、消費者を知り尽くしている。

「野菜は、見た目が9割り。色がきれいで、形が整ってないと売れない。味は二の次」。

大根も、白くてほどよい太さが「秀」でベスト品質。指1本入るほど曲がっていれば「優」で2〜3割り安い。黒いシミや股割れなら「良」か「規格外」。

つまり、ふぞろいは話にならない。野菜の個性は、無視されるということ。

長野県・安曇野では在来品種の種を守るシードバンクプロジェクトをやってるというから、来年行ってみるよ。

野菜のアンティーク、おもしろそうじゃないか。