これが織物? と根気に驚いた
予約していたDVD入荷の連絡があり、赤坂図書館を訪ねたのが24日だった。
本ほど在庫がないから、何を予約したのか忘れたくらい時間がかかります。
久しぶりの訪問。すると、赤坂図書館開館100周年記念展示をやっている。そんなに古い図書館なの。
1912年5月、氷川町1番地の氷川小学校に赤坂簡易図書館として開館。蔵書800冊、閲覧者は1日に50〜60名。
現在も、千代田区には小学校と併設された図書館があります。一般人用ですが、心なしか、だらしないふるまいは許さない、みたいな雰囲気がある。
つまり、廊下は走るなとか、おしゃべり禁止とか、司書の目が語ってる。
さて1912年は、明治45年。夏に明治天皇崩御。年号が大正に変わる。大正5年、蔵書5000冊。
反対方向の六本木に向かって、ツインタワービルの裏手にあるのが青山一丁目タワービル。その3階が、現在の赤坂図書館。
年表によると、ここは元麻布連隊区司令部。その隣には、第一師団司令部。昭和11年2月26日未明に、あわや天皇の軍隊同士が相撃つ事件発生。
「非常呼集!」騒然いかばかりか。
を見ていたのが赤坂図書館だった。
昭和13年、昼夜開館。
昭和20年、戦災の被害は2329冊。
何事もなかったような顔をしている町の図書館も、けっこう、きな臭いことを経験してる。100歳の老人と同じ。
そういえば、親父は大正2年生まれ。生きてりゃ、来年100歳。おめでとう。
その足で向かったのが、渋谷区立松濤美術館。
1月27日まで、「シャガールのタピスリー展」やってます。
米メトロポリタン美術館で染織の修復を勉強して、現在は女子美の先生をやってる石井美恵さんのギャラリー・トークあり。
タピスリー、英語ならタペストリー。ドイツ語ならゴブラン(織り)。
シャガールの絵が好きで、それを織物にしたのがプランス女史。彼女の作品展示会でした。
劇場幕ならまだしも、さほど大きくない松濤美術館に掛けられるとサイズに驚きます。5m、6mのタピスリーは、遠目からみると原画に近い。
石井美恵さんの説明によれば、プランス女史は「伝統技法」で織ったという。万を数える糸の色ではなく、50色程度で織るのが旧来の作り方。
絵の具なら、チャチャと混ぜることができる。
でも、糸でやるってことは・・・・。隣の糸との組み合わせを、どの面積でやれば、どんな効果を生むか計算しなければいけない。
強度を頭に入れた織り方もしないといけない。
あと、もう一つの「伝統技法」の織り方。
普通、上から下、または、下から上に織ると思うでしょ? 違うの。完成品の右、または、左から織る。
つまり、織ってる時に左右に横に通る糸は、完成した時、縦糸になる。この縦糸だけが、前面に出る。
目先、10cmぐらいに近づいて、何十回も見ましたよ。