「チビだっち」シニアの冨岡君と話す

陶芸教室「中級コース」の上田先生は、こんな顔してます。

なりきりファッションでしょ? このいでたちなら、窯から出た作品を「ん〜、気に入らん」と唸って、岩に砕く所作が似合います。

いつか、やってみたいんだ、あれ。

入門・初級と違って、中級では、まずレクチャーがあります。陶芸の基礎知識。今回は、ひずみについて。

・まず、よく練る。

冬場はつらいです。冷たいから。だから、スルーして、すぐ作り始める。「ひずみが出来てもいい」。

・均一の厚さ・バランス。

これをするには、ろくろのセンターに粘土をおかないといけない。回転台のセンター置くのはできる。

加工していくうちに、壁面がゆがんでいきます。1回転するうちに、手のチカラの強弱が面に伝わるからです。手首・指先を固定する慣れがない。

・部分的な強度

縁をやや厚めにする。あるいは、円周の外に反らせる。用の器は、口当たりや何度も洗うことを前提にした強度が必要。

・均一の乾燥や焼成

造形したものは、上から乾いていく。だから、上には湿気を残し、下は湿気を吸い取るようにしてあげないといけない。

やったことない人、お退屈さま。

半年間、何も考えないで粘土いじってました。

でもね、最後の1行が救いだった。

・陶芸では、ひずみ・ゆがみも「景色」と考える。

いい言葉だねぇ。「景色」専門だから、うっとりしました。これから、陶芸をやってない人には、こう言って一人陶然としよう。

新宿に出る用事があったので、バスで京王線千歳烏山に向かう。

「チビだっち」かおるちゃんから、中学校時代の同級生に電話する。なにしろ、彼女は仲間の生き字引。

「富岡くん?」

「あ、マコちゃん?」

これで、何十年の時間はすっ飛ぶ。そうです、僕はマコちゃんなんです。へ、へ。

富岡くんは、谷中に住んでた一人っ子。50年前、一人っ子というのは珍しかった。坊ちゃんだから、なんでも持ってた。

服も、カバンも、すべて新品。ステレオを最初に見たのも、彼の部屋。

足が長くてねぇ。谷中の墓地は石柱に囲まれた大きな墓所がいっぱいある。それを、ひょいひょい飛び越える。

「見てみな」と彼。

昨晩、愛の営みを墓所でやったなごりの品々。いろいろ、あったなぁ。

シート、むしろ、鼻紙、破れたカストリ雑誌

ひところ日参してた古本市で、集めに集めた昭和20年代の鼻血雑誌の原点風景。

まともに読みはしません。集めたら、それで満足。

・名作人情本 春暁八幡佳年 解説

・夫婦生活に於ける深浅法とリズムの快感15型

江戸の駘蕩から実用まで、各誌は大全・特集のオンパレードなんだ。

現在、冨岡君は京王線聖蹟桜ヶ丘に住んでいるという。それなら、陶芸教室の帰りに会えるね。

谷中じゃあ、擦り切れるほどステレオで聴いたなぁ。「恋のメキシカン・ロック」。