年末ネタを、2月に演った兄さん
これ、前に紹介しました? 江戸時代のおもちゃ「とんだり・はねたり」。
サイズは、掌にすっぽり収まります。
人形の台は、竹。何重もの糸につながった細い棒。今、手前に突き出てますが、それは「使用後」。「使用前」は、棒を後ろに180度返して、台の上に置く。
その時、人形の頭にかぶり物を乗せる。そして、一瞬に手を離す。
ピョ〜ンと跳ねて、中から「あらら、天神様がお出ましぃ」となる。どうでしょ? おもしろい? この他愛なさが好きなんです。
やって来ました、湯島天神。
ご存知菅原道真公・学問の神様。今春合格祈願の絵馬は、マツコ・デラックスの肩から腰にかけてのラインのように、もりもりとしてました。
今、梅祭りをやっていて、夜目にも梅が香。
「混み合いますので、1時間前から整理券を出します。お早めにお越しください」と半分おどされる。高をくくっていたら、ほんとに混み合っていた。
一回、歌う落語家・市馬さんを聴きたかった。今回も歌わず。彼の弟子の市助前座が、代わりに歌う。
これだけ読めば、奇をてらった噺家と思うでしょ? ネが硬派だから、歌うと落差に驚き・あきれ・笑う。
みそ汁CMでおなじみ、落語界初の人間国宝だった五代目柳家小さん師匠の、最後の弟子。「落語じゃなく、剣道の相手で弟子になった」と、おなじみのマクラ。
というくらい、剣道一筋だった青年・市馬。やったのは「権助芝居」と「首提灯」。
「首提灯」は主人公が武士ですから、扇子を持った抜刀姿はキリキリしてます。いうところの、筋。これがあるから、後半のシュールな場面が活きる。
小さん師匠の弟子で有名なのは、立川談志と柳家小三治のビッグネームでしょうか?
両極、といっていい違いがあります。
「落語って、芸風を受け継がなくていいんだ」とわかった瞬間です。自身の語りを持たなければいけない。〜ふう、であってはいけない。
それこそ山のようにいる歴代の語りを聴いて、それとは違うものを探す。消去法ですから、これは闘いです。
落語界の藤沢周平、柳家さん喬師匠も小さん弟子。さん喬さんの弟子が柳家喬太郎兄さんです。
若手のホープも、現在は40歳代でしょうか? 二ツ目の頃から聞いてました。
いわゆる古典落語に、チャチャを入れるのが若手のやりかた。今回は、まっとうに「文七元結」を演りました。
博打に狂った左官屋の父親。もう、家には何もない。娘は身を売って50両をこしらえる。手にした50両を、身投げしようとする若者にあげるか、そのまま立ち去るか?
「あなたなら、どうする?」と問う落語。
50両を、現在風に500万円に置き換えてもいい。
「娘は、女郎になっても生きている。お前は、集金したお金を紛失して、『死ぬ』というからあげるんだ!」と若者に叩き付けて、走り去る。
ことが大きくて、理由としてはピンときません。
僕の解釈。
左官屋が腕一本で稼ぐフリーランスだからできたこと。大金だけど、それを稼げる自信がある。あるいは根拠はないが、働くモチベーションにはなる。
サラリーマンなら、どれだけ貯金があってもあげない。いてほしいけどな。