「日曜はダメよ」を作曲した人だった

去年、シルビー・ギエムのバレエを見ました。

「とにかくギエムじゃ」と、演目に目をつむって出掛けたんです。でも、やっぱりベジャールが振り付けた「ボレロ」を見なきゃ話にならん、と、今度はギエムじゃない「ボレロ」を見に出掛ける。

どうも、やることがチグハグで。

ダブル・キャストでした。女子はエリザベット・ロス。男子はジュリアン・ファブロー。

迷いました、どっちを見ようか。どっちも知らないから。

ギエムもあるけど、ここは「ジョルジュ・ドンでしょう」ときて、男子を見ることにする。

知ってる曲というのは、短く感じるもの。ボレロも、微かな音から始まって、どんどん大きくなる。人類の永遠の息吹き、とも思える音楽。

それが、「あれ、もう終わっちゃったの?」と、あっけなかった。正直にいえば、ファブロー兄さんの踊りは小さい。

収穫は、最初にやった「ディオ二ソス組曲」。バレエも素晴らしい。舞台もいい。照明も。

でも、なにより音楽。プログラムを見たら、マノス・ハジダキスだって。ギリシャの海と風と天体が、舞台に浮かぶ。

あぁ、太古のギリシャ。言葉を持たなかった人間が、太陽や月を見て感じたであろう体の動き。原形質の動き。

ベジャールは、よく観察したことを動きに翻訳できる人だった。