文明の建築で、文化を演じる

先代市川猿之助スーパー歌舞伎ヤマトタケル」の台本を著いた梅原猛さん。

今度は、能の台本を著いた。とにかく、何を謡っているのかわからない能。現代語に直した台本だという。いつ演るのだろうか?

「梅原日本学を確立した」というキャッチフレーズしか、梅原猛さんのことは知りません。彼が、京都・東山の麓に住んでいるのを「Eテレアーカイブス」で知る。

山を借景にした日本庭園のある住まいの主人87歳。そこに、46歳年下の東浩紀兄さんが訪ねる。

3・11後の日本思想を模索し、題して「梅原猛さんに会いにいく」。

2年前の震災を「文明災」と語る彼。なんとなく「例の視点だな」と、なごむ。

文明 = 欧米 = 論理 = 人間が自然を征服

文化 = 日本 = 情緒 = 人間が自然と共生

「日本には『草木国土 悉皆成仏(しっかいじょうぶつ)』という考えがありました」。やまとの国は、森羅万象に神宿る。それを忘れて、欧米の真似をした結果の「文明災」という論理。

宮沢賢治の童話「いちょうの実」を一例に、悉皆成仏を説く。

総じて科学を、目の敵にします。訪問者が、東浩紀じゃなくて山中伸弥教授だったら白熱したかも。

大哲学者も、晩年になると「浮世風呂」「浮世床」の親父と寸分違わぬことを言う。「悉皆成仏」なんていう言葉に頼るのは、インテリの弱さ。

僕は、二項対立させてどちらかに軍配を上げるのが好きじゃない。

梅原猛さんのように、真面目に西洋と東洋の思想を勉強してないからね。勉強しても、同じでしょう。違いはある。でも共通することもある。

「いちょうの実」は、「葉っぱのフレディ」と同じだった。永劫回帰は、日本の専売特許じゃないよ。

ただし、生き残った者は「被災者から、生き方を見られている」のは確かだね。

ジョージ・クリントン