定職はないが、軌跡をソラで言える

「青春を山に賭けて」植村直己著を読んでます。

アメリカ・マッキンリーで消息不明になったのが、1984年2月13日。もう、29年経つんですか? そんなに?

現在、五大陸最高峰登頂者は日本に何人いるでしょう。世界に拡げたら50人くらいはいるんでしょうか? 世界で初めて達成したのが、植村さん。

という実績は、後から知ったこと。北海道から九州までの国内縦断とか、北極圏で犬ぞり探検に成功した報道で彼を知りました。

明治大学の山岳部で、山登りのキャリアをスタート。20代登山行の日記を基に著いたのが、この本。堀江謙一太平洋ひとりぼっち」と同じ瑞々しさがある。

8848mのエベレスト。富士山の2.5倍くらい? このアタック、見てきたこと・やったことだけを述べる。風景を描写して、「〜のような」という形容がほとんどない。

「残りのも名画座」へ行ってきましたエルメスビル。今回は「輝く峰ガッシャーブルム」。

8000m級のカラコルム縦走のフィルムで、圧倒されたのが岩肌のパノラマ。僕には絶望としか思えない岩壁を、伝説の登山家メスナーとフィリベールがとりつく。

1984年の映画ですから、最近のアタック映像からみるとカット割りは少ないです。その分、2人へのインタビューに重点がありました。

「他の芸術と同じで退行現象でしょう」と語るメスナー。「まともな人生を送れ」という世間への自己分析。

必要最小限の装備でやる登山。それが普段の生活でも同じで、必要な物がほとんど無い。はっきり描けるのは、登った山の稜線だけ。

「それが、人生の軌跡です。人生は、突然終わるものです」。

メスナーの言葉は、植村さんの消息不明と同じ年だったんだね。

ヘンデル パッサカリア