書店ルポルタージュってのが新しい

本好きは、たいてい子供の頃からの環境とか習慣でしょう?

「家には、本があふれていた」とか「少年少女文学全集を読んでいた」とか。

僕は、学生時代のアルバイトで知り合った人が、休憩時間に一人静かに本を読むシーンを見てからだから、そうとう奥手。

他人の読書風景を見ているのは、今も好き。

「新宿で85年、本を売るということ」永江朗著。

紀伊国屋書店の本店物語。今でこそ、ビル1棟がまるごと書店というのはめずらしくありません。隅から隅まで1フロア全部という大型書店もよくある。

現在の本店が開店した1964年では、とても大胆だった。でも本を読まない高校生だったから、ビッグニュースに素通りしてた。

オーナー田辺茂一さんは、旦那遊びの洒落者。実質的な経営は松原治さん。御両者は、理想的な名コンビでつとに有名だった。これは、本を読むようになってから知ったこと。

本店ビルを設計したのは、前川國男。これも、建築に興味をもってから知ったこと。

大学向け図書館の外商で、ナンバー1の納入実績。これは、大学の仕事をしていて知りました。ほとんど「紀伊国屋の言いなり」と職員が嘆息するほどの網羅性と専門性があるらしい。

本の内容のことではありません。タイトルの網羅性と専門性。

いろいろな点で、どれだけ業界からうらやましがられているか。ニュアンスとしては、自動車業界のホンダに似てます。

丸善ジュンク堂・図書流通センターが大日本印刷グループ傘下になった時、紀伊国屋の独自性が光った。

著者の永江朗さんは、読書術の本で知られてます。ライフワークが書店ルポとは。書評とか、作家インタビューとか、出版社じゃなくて、書店というところがいいね。

そうそう、棚に本が並んでいる風景は僕も好き。これには、棚が好きってこともある。

この際、棚評論家になろうかな。棚アナリストって肩書き、独自かなぁ。

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