声にならないため息を書けば

文藝春秋社が、「藤沢周平全集」を出していたのは1990年代。

よ〜く、覚えてますよ。恥かいたから。

その頃、文藝春秋校閲部に、学生時代の先輩が在籍してました。「今、藤沢周平で忙しいんだ」。「そうですかぁ」。

話をしていて、どうも話が合わない。僕は、脳内に漫画家が浮かんだんです。どういうわけか。高名な時代小説家を知った瞬間。

それ以前も以降も、読んだ時代小説は10冊前後でしょう。

山田洋次監督の映画「たそがれ清兵衛」を観ても、読もうとは思わなかった。

藤沢周平は、2つの版元から朗読CDが出てます。

一つはNHKで、これはラジオで放送されたものをCD化したもの。すべて、松平定知アナウンサー。

も一つは新潮社からで、15枚ほどあります。これは、いろいろな人が読んでます。「たそがれ清兵衛」のイメージプロットは同名の小説ではなく、「祝(ほ)いと助八」だった。

「祝いと」は、物乞いのこと。今でも、地方では使われている言葉。身なりをかまわないから、同輩から「祝いと」と呼ばれている助八だが、剣を抜けば・・・と、清兵衛につながっていく。

すまけいが朗読してます。続いて聞いたのが、辻萬長が読む「神隠し」。藤沢周平にしてはめずらしいノワール

直木賞受賞前、まだ業界紙記者時代に書いたのが「赤い夕日」。長女誕生と最初の女房他界を同時に経験した1963年。

奈良岡朋子さん朗読。寂寥と色気で、朋子さんワールド全開。

新潮社CDシリーズは、山田洋次監督が監修してました。彼は、たぶん映画化する前に藤沢周平全集を読んでいるでしょう。

全集23巻 までは90年代に出ました。その後、別巻は2002年、第26巻は2012年発行というから、今でも根強い人気。

そろそろ、読み始めようかなぁ。

Stuart Matthewman