維新するのか、滅亡するのか

個人書店をやるとしたら、この2冊は同じ棚に並べて置くね。

「農業維新」竹書房刊。著者の嶋崎秀樹さんは、菓子メーカーからトップリバーという農業生産法人の経営者に転身した人。創業13年で、年商12億円。成功者です。

トマトやキュウリで12億円を販売する。工業製品なら120億、サービス産業で1200億と同じ価値があるんじゃないか?

小規模兼業農家が、所得保障に頼る日本の農家。TPPの話題で、次の参議院選挙の対策で、産品保護から高い関税をどこまで減らせるか。 

これ、40年くらい不変のテーマでしょうか?

嶋崎さんは、経営視点で農業を見る。土地・機材・肥料をそろえて、運営を他企業にまかせる手法も計画中。フランチャイズだね。

深沢七郎さんの「生まれることは屁と同じ」河出書房新社は、その真逆。

1970年代、樹木希林小沢昭一横尾忠則大橋巨泉などを迎えた対談集。

農業を始めた野坂昭如とも話す。「田んぼをやったといっても、ただ労力を奉仕するだけ」で、専門的なことはすべて専門家にまかせなきゃできなかった。

七郎さんも65年からラブミー農場で畑やってましたから、作業の大変さにうなずく。閉口する新参者を「ぜいたく百姓」とからかう。

日本滅亡教の教祖。今川焼「夢屋」店主でもあった。みみっちくて、うらぶれたとこが好きな七郎さん。好きだなぁ。

楢山節考」デビュー以来、一貫して土地・年寄り・食に関心があった。

「農業維新」の装丁は、著者のワイシャツ姿の写真。「屁と同じ」は、大竹守さんの装画。農って、怪物だよ。

クラフト・ワーク