3D映画は、カフカ的なんじゃないか

カフカですよ、フランツ・カフカの話。

一冊も読んでませんが、だいたいわかるよね? 主人公が気付いたら自分じゃなくなっていたとか、次々と奇妙な事件が起きたりとか。

どこまでが本当かわからなくなり、時間や空間が狂い、底なしの不安地獄に落ちていくような感覚。悪夢というか、迷宮というか。

それを場所で表すと、町外れの荒れ地、曲がりくねった路地でしょうか。

身に覚えのない罪を着せられた時のとまどいとか、精神の錯乱なんてのもカフカ的だよねぇ。酒や薬物で、周囲が生き物のように見えるビジュアル。

現代の映像作家でいえば、ディビット・リンチかな。

カフカと映画」白水社刊は、カフカ小説を映画にした評論です。

「そうだったのか」と思ったのは、カフカ自身が映画をよく見ていたこと。

1996年、日本では「映画100年」のイベントが盛んに開かれました。1896年は、フランスのリュミエール兄弟が初めて映画を上映した年。

1907年に、プラハに最初の映画館が誕生。カフカはたちまち夢中になる。

映画の「あらゆる新しいもの、今日的なもの、技術的なもの」、つまり映像が連続して動くこと、運動の芸術に魅せられたのだった。

想像力が刺激され、それが、文学に現れる。寓話のように、サスペンスのように。

本の装丁をしたのは、戸塚泰雄さん。

カバーの紙に、薄クリーム色を使用。絵柄は無しで、タイトルだけ。これは、映写される前のスクリーンのつもりなのでしょうか? モノクロ映画の白を意識したのでしょうか?

あるいは、八方ふさがりの袋小路のようなものを意識したのかもしれないね。

ラパラックス