黒い血が流れるから、この恍惚

ここ数年、白山にある東洋大学が元気です。

キャンパスを立て替えたり、箱根駅伝で活躍したりね。水泳の平井コーチを迎えて、五輪級選手の面倒もみるようになったし。

個人的には、お化け博士の井上円了が作った大学だから好きというのもあるし。正規の授業に「妖怪学講義」まであるんだから。

あ、思い出した。高校生向け入学案内キャラはムーミンじゃなかったかなぁ? ムーミンがお化けだから採用したんでしょ。

「妖怪学講義」をやっているのは、菊地章太さん。根っから日本のお化けの専門家かと思ったら、本当は西洋の専門家だった。フランスのトゥルーズ神学大学で勉強した人。

「妖怪たちのラビリンス」角川学芸出版刊。

日本には、貧乏神とか疫病神がいます。落語にもよく出て来る。これ、神様の落ちぶれた姿。して、そのルーツは西洋にあった、ってあなた。妖怪はとっくの昔からグローバル家族だったんですよ。

妖精・魔女・おおかみ男・吸血鬼・精霊。

バレエ「ジゼル」の主人公ジゼルは、結婚前に死んだ村娘の精霊なのだ。夜中に墓から出て来て、月光を浴びながら踊り続ける。

そこに出くわした男は、死ぬまで踊り続けなければいけない。あな、恐ろしや。げに、美くしや。

神話学講義をどんどん進める教授。

ヨーロッパ世界の中心地だった東地中海。南はエジプト、北はギリシャ。と来りゃぁ、ギリシャの神々の物語になる。

・海の神ポセイドンは、クレタ島のミノス王に牡牛をいけにえにするよう命じた。

・ところが、王は牡牛が惜しくなった。

・怒ったのがポセイドン。王の奥さんに牡牛と通じさせ、産まれたのが牛の頭を持ったミノタウルス。

・王は、一度入ったら出られない迷路ラビリントスの宮殿に、牛頭の怪物を閉じ込めた。

去年12月、セルバンテス文化センターでピカソの版画展やってました。1933年作「眠る女性を愛撫するミノタウルス」。ピカソは黒い血統を描きたかったんだね。

灼熱の血が騒ぐ、聖と邪のエネルギーだよなぁ。