最近の旅は、隠れ里探しと彼は書く
「そして、人生は続く」川本三郎著。
どこかで聞いたことあるタイトルでしょ? そうです、キアロスタミ監督の「そして人生はつづく」に倣った著書名。
イランを襲った大地震後に、村を訪ね歩くドキュメンタリーふう映画。川本さんは、たぶん迷わず決めたんでしょう。2年前の東北地震が紙幅の半分を占めるから。
「朝日ジャーナル」で記者をやっていた頃は知りません。退社後の文章で彼を知る。
映画、東京散歩、荷風、居酒屋、一人旅、温泉がだいたいの守備範囲。今回読んでみて、かなりのクラシックファンだと知りました。クラシックの単行本は出版してたかな?
たとえば、石川滋。
第1章は、2010年から12年まで雑誌「東京人」に連載されていたエッセイをまとめたもの。
第2章は、「家事1年生」と題して、男やもめになった日常を書く。
元々、静かな人という印象がありました。
「静かな生活を心がけること」で日々をやり過ごすようになった。体の中に風景が溶けこんでくる。
元気に仕事をしたいと思う。一方で、ある所で隠栖したいとも思う。函館、盛岡、小田原、湯河原、松江、長崎。それぞれの町には、出会った人や、引きずって来た思いのたけがあった。
そして、「頭の中はともかくとして、暮らしの中には修羅を持ち込まないこと」。
窮極の「ひとり遊び」は眠ること、って、ここは笑う。