もしかしたら、「みのひとつだに」は?

気付いた時が、半日遅かった。

大田区郷土の会・副会長、佐藤博さんの講演「太田道灌 山吹きの里伝説を訪ねて」。聞きたかったなぁ。山吹きの里は、大田区にもあったのだろうか?

江戸城を作ったから徳川家康の同時代人と思っていたら、室町時代の人という意外。

落語「道灌」がコトの起こり。山吹き伝説の地は、方々にある。

・鷹狩り先で雨に会い、みすぼらしい家にかけこんだ。「蓑を貸してもらえぬか」と声をかけると、少女が出てきて、恥ずかしそうに黙って山吹の花を差し出した。「花が欲しいのではない」と怒った彼。

・「あのですねぇ」と、家来が古歌を披露する。

・七重八重 花は咲けども山吹の みのひとつだに なきぞ悲しき

・「『実の』と『蓑』をかけているのでは? 少女は、蓑一つ無い貧しさを、一輪の山吹に託したのではないでしょうか?」。

自分の不明を認めるのは、つらい。年齢を重ねれば、どんどんつらくなる。

「つまり、小娘にへこまされたってわけですね」と八五郎がつっこむ。ご隠居さん、何食わぬ顔で答える。「持資は恥じ、以降、歌道に精進するようになり、後に出家して道灌と名乗るようになった」。

ってな落語。

年齢だけはご隠居相当でも、知恵や気持ちが八五郎の場合は、どうすりゃいいんだろう。落ち込むよなぁ。

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