鉄条網だけの業界紙はあるのか?

早稲田大学でやっていた「映像で知るパレスチナ」。ラップでレジスタンスするアラブの若者たちの映画を見る。

LowKeyが歌っていたのが、Long Live Palestine。感じるところがあると、本もタイトルのほうから飛び込んでくるもの。

「鉄条網の歴史」洋泉社刊。

AP通信社のフランス人写真家、ジャンマルク・ブジェの写真が装丁に使われてます。イラク戦争時、ナジャフにあった米軍捕虜収容所で撮影。世界報道写真大賞受賞。

目隠しの黒い頭巾をかぶらされた男が大地に腰を下ろし、裸足の男の子を抱きしめ慰めている。収容所を訪ねてきた子は、頭巾姿の父に安心して身をあずける。

画面手前、鉄条網が螺旋の威嚇をしている。

鉄条網は、対立・分断・隔離・拘束・排除・抑圧・保護のアイコンです。針金を寄り合わせトゲを付けただけで、これほど一目瞭然な状況説明をする物も無いんじゃないか。

鉄条網にも「父」がいました。ジョゼフ・グリッデン。

1873年、60歳の時にかみさんから言われる。「丹精こめて作った花壇が家畜に荒らされるので、なんとかして」。

動物でも理解できる、緊張装置。戦時で使われるのに時間はかからなかった。このあたり、ライト兄弟が1903年に成功した世界初の有人動力飛行機に似てる。

コレクターもいる、協会もできる。カンザス州にある博物館には、特許を持つ鉄条網を含めて3000種類も保存。トゲの部分がイガ形、星形、ダイヤ形、花形・・・。

カミソリを針金に溶接したものは、もっぱら軍用。ナジャフの収容所にあったものだった。