漱石も、ミレイが気になっていた

これ、上高地・明神池近くの写真。嘉門次小屋の脇を流れるせせらぎで撮った一枚。

長く揺れる水草が、流れる裾模様に見えた。ジョン・エヴァレット・ミレイ作「オフィーリア」じゃないか。ハムレットの彼女オフィーリアが、狂って川で溺死する。

この19世紀名画が、漱石草枕」にも登場していた。まったく覚えてない。

9日の日曜美術館は、絵画から見た漱石小説を特集。東京芸大で展覧会をやっている。
  
・坊ちゃん  ターナー

・門  酒井抱一

三四郎  熊本から上京した三四郎に、美禰子は半裸の人魚画を見せて翻弄する。あぁ、宿命の女。

草枕  画家が主人公であったのは、覚えてます。でも、こんなに画家が出ていたんだ。長沢蘆雪(ろせつ)、伊藤若冲(じゃくちゅう)、円山応挙ターナー、ミレイ。

漱石は、子ども時代に養子に出された。その寂しさをなぐさめてくれたのが絵画だったのだ。ロンドン留学時代の唯一の憩いも絵画だった。

ペンを絵筆に替えて、自身も絵を描きました。名を遂げてからの趣味と思っていたら、まるで違ってた。

番組に登場していた、展覧会のディレクター・古田さん。名画を並べるだけじゃつまらないと、文中の美禰子をキャンバスで再現してみせた。

女の唇は、時代を超えて男をころがす。最高の企画だね。

Pat Metheny