昨日のように思い出せる告白
ロマン・ポランスキー = いつもスキャンダルがつきまとう監督。
事実、淫行が発覚してヨーロッパに逃げたし。
ドキュメンタリー映画「ロマン・ポランスキー 初めての告白」で、いろいろ実相がわかった。
サイコ・サスペンスの「ローズマリーの赤ちゃん」は、世界的に大ヒットしました。ホラーとかオカルトという言葉が根付いた映画。
ところが、栄光の極から暗転する。
妊娠していたかみさんのシャロン・テートは、カルト教団のチャールズ・マンソン・ファミリーに惨殺される。現場の壁に「Pig」の文字が残った。
実は、これが完全な人違い殺人。
マンソンは売れないミュージシャンだった。プロデューサーに恨みをもち、家に押し入り凶行におよぶ。かのプロデューサーはすでに引っ越していた。
100%被害者なのに、「ローズマリー」を撮ったので「さもありなん」的スキャンダルになっていく。
映画は、ポランスキーがパリで産まれたところから始まる。
3歳で両親の故郷・ポーランドに引っ越し。6歳の9月1日、ナチが国境を破って電撃侵入。ほどなくユダヤ人ゲットーのレンガ壁が作られる。
ロマン少年、母親が連行され強制収容所に追い立てられるのを見る。その時、彼女は妊娠していた。
胎児に運命づけられた、としか思いようがないその後の人生。
「墓に入れるとしたら、どの映画を選びますか?」
「戦場のピアニスト」。
戦争の暗黒・断絶・不条理を、死ぬ前に残しておきたかったんでしょう。ドンパチものとは違います。幼いとはいえ、彼は当事者でしたから。