7000フランの新聞をネタに
7月1日で、今年も生産性なく後半戦突入。
事典読んでます。「カリカチュアで読む 19世紀末フランス人物事典」白水社刊。
世紀末という言葉は、頽廃・耽美と1セット。このイメージは、どこから来たんだろう。末であって、始まりじゃないからか?
フランスの世紀末は、なんたって普仏戦争で負けてパリ・コミューン勃発。ドレフュース大尉事件。
一方で、エッフェル塔も建った。自由の女神をアメリカにプレゼント。狂犬病のパスツールやキュリー夫妻が地道な研究。
第1回印象派展開催とか、オペラ座落成、キャバレー「黒猫」開店、デュマやゾラやユーゴーやピエール・ロティ小説「お菊さん」がヒット、映画のリュミエール兄弟が人を驚かす。
けっこう、山あり谷ありだね。
30年以上前のこと。鹿島茂教授はパリ・サンテ刑務所の壁を左に見ながら歩いていると、暗闇に浮かぶ古本屋を見つけた。
店主が見せてくれたのが、新聞の束。和訳すると「今日の人々」というタイトル469号の完全揃い。19世紀末の現代人が、カリカチュアされた表紙を飾っている。
教授は即、購入。
政治家、経済人、科学者、文学者、芸術家など、469人の事典の原本。肩書きに「ジャーナリスト・政治家」が多いのは、フランス世紀末が「政治の時代」だったから。
21世紀からみると有名・無名人がまざってます。知られる有名人の一口解説より、圧倒的多数の無名人の解説が楽しくて「もっと知りたい」となる。組合活動家、フェミニスト、猛獣使い、博覧会プロモーターも登場するんだから。
さすがは「人物事典」。ジャンル別一覧とか相関図も作りたくなる。
カリカチュアを描くイラストレーターは、風刺画大国フランスならでは。アンドレ・ジル、アンリ・ドゥマール、コル・トック、エミール・コール。自身が、自画をカリカチュアもしてる。
して、描かれるほうにも画家がいる。ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌ、スーラ、ピサロ、ロートレック、ギュメ、シュレ、ラスパイユ。
イラストレーターもいる。ロビダ、スタンラン、カラン・ダッシュ、アンリ・ソム、ジュール・ディス、ナダル(写真家でもある)。
画家で、兼イラストレーターもいます。が、これ以上続けると怒号が飛んでくるのでやめます。