成長したチョコ、リンゴ、レモン、おもち

加古里子と書いて、「かこさとし」と読みます。

工学博士のかたわら、セツルメント運動をして、わけても児童会活動に参加し、のちに児童文化の研究に傾く。

そこから産まれた絵本「からすのパンやさん」。偕成社から、1973年に初版が出ました。2010年に、380刷。もう、親子三代に読み継がれてます。

いずみがもりで、パン屋を営むからす夫婦に、4羽の赤ちゃん誕生。

ところが、赤ちゃんは黒くない。茶色の子にはチョコちゃんと名付けた。赤色の子にはリンゴちゃん。黄色の子はレモンちゃん。白い子にオモチちゃん。

すくすく育ち、一家総出でパンを焼き、おいしくて大評判。で、おしまい。

すると読者から、「続編を読みたい」という要望が続々出版社に舞い込んだ、と思いなせぇ。

とうとう出ました。4羽のその後。

長男・チョコちゃんは、パン屋のかたわらでビスケットを焼いて出したら、お客にミミちゃんが来て、しまいにゃ結婚までしちゃう「からすのおかしやさん」。

長女・リンゴちゃんは、友だちのいとこ・シンちゃんと結ばれてめでたく八百屋をはじめる「からすのやおやさん」。2羽はなかなかのアイデア夫婦で、野菜・果物に目鼻を描いて売り切る。

次女・レモンちゃんは「からすのてんぷらやさん」。火事になった天ぷらやに見舞い行く。目を怪我しても頑張る息子のイワくんを手伝っているうちに、いつしか恋仲になって。

次男・おもちちゃんがソバ農家の娘イソちゃんと出会う「からすのそばやさん」。ソバだけでなく、うどんメニュー、各種ラーメン類、スパゲッティやマカロニまで出すソバ店に成長する。

2013年4月5月に、4冊発行。加古さん、構想40年の力作です。

ストーリーもさることながら、出て来るからすの絵が愉快なんだ。ぜひ、見て欲しい。

上妻宏光