遥かに見えない距離を移動すると

本屋で見かけた雑誌「TRAMPIN13号」。

信越トレイルで初めてのテント泊」という記事が出てた。ずっと信越トレイルが気になってます。加藤則芳さんのアパラチアン・トレイルの本を読んで以来。

いつか、テントと炊事道具を持って僕もロングトレイルに参加したい。毎日、近所を10kmほどウォーキングして1年間続けないと、ゆとりをもって歩けないんだろうと想像する。

「いま生きているという冒険」石川直樹著。

よく雑誌に登場して、山岳写真家と思ってました。山もやりますが、海も空も彼のフィールドだった。写真は付随で、むしろ移動することが彼のテーマ。

一番のきっかけは読書だった、というところにひきこまれる。「そこは、どんな場所なのか?」という子ども時代のイメージ・リハーサルが読書。

カヌーの野田知祐さん。計器を使わず、伝統航海術の星で長距離航海をするマウ・ピアイルグ。熱気球で太平洋横断を試みる神田道夫さん。

師匠を得て見てきたのは、どれも大河、大洋、大気、森林の宇宙を感じる精神のありよう。技術や知恵の先にあった、奇跡的な神話が体にしみ入る。

大きな人だね。

7大陸最高峰に、当時最年少で登頂した。それより圧巻だったのは、北極点から南極点まで2000年4月5日〜12月31日までのドキュメント。

Pole to Pole国際プロジェクト8人の中に、彼は日本代表に選ばれて参加した。酷寒と酷暑、湿地と乾燥地、大地と河川、すべてを人力で踏破・渡航する。

メンバーのハイジが、手編みのニット帽を編んで彼にくれた。宝物になった帽子には、こんな言葉が。

May your passion lead you to unknown heights!
情熱が、あなたを未知の高みへと導いてくれますように。

「何がいちばん大切ですか?」と、谷川俊太郎さんからの問い。

「それでも生きることじゃないでしょうか」。

すでに、藤原新也さんの透徹眼。

横笛の藤舎名生