ヘンじゃない欧文が組める人
ライオンズマンションに住んでいる人もいるでしょう。
○○ライオンズマンションと、入り口にアルファベットの文字が並んでます。ところが、ヒゲが飛び跳ねている書体だから○○が読めない。Lions Mansionすら読めない。
たぶん、書体名はゴールディ・テキスト。
「高岡重蔵 活版習作集」烏有(うゆう)書林刊。
正確な書体名が、やっとわかりました。今まで、ライ・マン書体と勝手に名付けてましたが。
印字されて、紙に食い込むような圧力を感じる活版印刷。
ごくたまに、そういう名刺をもらいます。人柄がにじみ出てるようで。ワインのラベルにもあります。品質に伝統を感じさせます。カレンダーにもあって、一日を大切にしなければと反省を促す。
消耗品だけど、貴重品。
嘉瑞(かずい)工房は、活版で印刷する会社です。高岡重蔵さんは、そこで組版工をやってました。
本は、欧文の組版のサンプル集。オフセット印刷で再現しているので、実際の食い込み具合はあまり感じられません。でも、想像力で補えば充分楽しめる。
名刺、カレンダー、レターヘッド、封筒、案内状など、もらって捨てる気にはなれない品々。
外国に出掛けて、トンマな日本語看板とか、すわりに悪い日本語メニューに出会うことがあるでしょ? 反対の立場で、日本人が組む欧文がどれほど現地の人から見ると「ヘンなの」か。
高岡重蔵さんは、彼らも美しいと評価する組版に取り組んだ人だったんです。
それにしても、烏有書林。いい本出してます。次は、「ジョンストンの地下鉄書体」と「剃刀日記」が読みたくなった。