埴紗萠さんに挨拶される草花たち

「雑草という名前の草はありません」と園芸高校で先生に言われて、合点がいく。

そうだよなぁ、草は心外だよなぁ。「ちゃんと名前で呼んでくれ」。NHKスペシャル「足元の小宇宙」を見ていて、埴紗萠(はに しゃほう)さんは、ちゃんと草に名前で呼び掛ける。

植物写真家になって40年。すでに、本は30冊も出していた。最初はランドクルーザーに乗って駆け回ってましたが、現在は座骨神経痛。群馬県の自宅から半径100mの草に、命の輝きを探して撮影する。

番組は、彼の1年間を追いかける。

植物って、一瞬しか見ないから静止して見えますね? 高速動画で開花状況を見ることがあっても、実際には立ち止まって見ることはない。

埴さんは、何時間でも立ち止まる。

すると、雄しべがポンとはじけて、花粉がジェットストリームのように流れるのを見届ける。はるか遠くへ、子孫を残す生命力。

土筆やキノコの胞子も元気。ドライアイスのスモークに似た胞子がメロディアスに流れる。緑色の胞子を顕微鏡で眺める。すると、リズミカルに踊っている。「生命の輝きでしょ」と、彼の説明にうなずく。

撮影してるポジションが、地上10cmで、這うがごとし。10cm高の三脚ってあるんだね。特注かな? 30秒に1回、自動シャッターが切れる機材も持ってる。

撮影機材が特注なら、道具も自作。チカラを与えるとサヤがはじける瞬間を撮るために、手づくり鉄砲。ポンと当たった時、シャッターを切る。

なごんじゃうよ。

地面にシートを敷きながら「ズボンを汚すと、洗濯がタイヘンだと、嫁さんに叱られる」。ますます、なごむ。

ピッケルを一脚がわりに、カメラを固定する技もあった。僕は、杖でやろうとしてたこと。同じ発想でうれしい。

動画も撮るし、ホームページも開設。これは、僕も来年までに目指しているもの。でも、テーマが決まらなくて困ってる。

被写体と親戚づきあいできるもの、模索中。

レスピーギローマの松」。