若き旅人は、緑の草原に帰る
ドナルドダックには、3人の甥っ子がいる。いや、3羽の甥。
そろいのツバの短い帽子をかぶってる。ドナルド叔父さんも、育てる責任がないから無邪気に3羽と遊ぶ。僕にも甥っ子がいて、よく遊んだ。弟のようだった甥。
今は天国に行ってる。お線香をあげて、久しぶりに対面。「よく働いたねぇ。働き過ぎちゃったねぇ」。
Outstanding Achievement 顕著な業績
仏壇のとなりに飾られている、彼の両親に残された表彰状。死んだら、こんなものをもらっても意味は無い。でも、育ててた成果を表彰された証明だから、捨てられない。
静かに、読む。
I thank you for your tremendous efforts to achieve December 2007 Sales World Record of JPY 1,154,104,400.
thank youしてるIは、カルチェのCEO。 tremendousものすごい、途方もない、巨大な売り上げにthank youしてる。
カルチェ銀座店が、07年12月クリスマス商戦でセールスした金額が11億5400万円。世界中のカルチェ店舗の中で、銀座店がWorld Recordを樹立。
そりゃ、CEOもthank youするわな。youは、その時マネージャーだった甥っ子。
12月クリスマスイブの日、ウィンドウごしに彼が客を応接しているのを見る。声をかけなかったのが見納めだった。記録を達成して、12月30日に異変。女房が自宅ベットでこときれている夫を発見した。
あれから6年。今年12月が七回忌。
仏壇の前には、ミルキーがお供えしてある。母親には、永遠の坊や。これはハッキリしてる。ひるがって父親には、
父親には、どう映るのだろう? World Record の栄光と虚妄。引き裂かれる思い。
旅人よ。