本は買うため、読むためじゃない

ただのハガキが郵便じゃなくメール便で送られてくる世の中。郵便より安いのか? 

とにかく、なにかといえば宅急便でしょ? 

「宅急便より、単身引っ越しサービスのほうが安いですよ」と言われて、差額1万円だから乗り換える。段ボール15個を、都下の実家から自宅に運んで2万円ほど。

単身引っ越しサービスは、単身者向けの運送。家財道具も少なく、それなりの容積を同一料金で運ぶ。

実家以外にもう1ッ箇所保管していた場所には、それより個数が多いから、2万円というわけにはいかないと予想はしてました。

「200個ですが、重いので2トン車では無理です。3トン車が必要です」と、ヤマトの引っ越しアドバイザーの見積もり発言。

中身は古本。そりゃ重い。

1回目の売却は、マンション購入時で10年分あった。2回目の今回は30年分で、しかも「おとな買い」してたから量がダンチで違う。

8畳間ほどの倉庫を10年前に買って、寝かせていた。搬入時以来だから懐かしい。開梱したら読み始めるだろうから、一切手を触れない。

たんたんと見積もる引っ越しアドバイザー。でも、言ってる数字が虚ろに聞こえる。30年間、古本を買いにでかけた海外と地方の旅がつまっている。古本買いを口実に旅をしていた。

手ぶらから、ものすごく遠回りして、元に戻った気分。

この手合いは大勢いるだろうから、古本の微細な流れが血流のように地球上をめぐっていることになる。現在所蔵されている場所は、仮の場。10年20年単位で、次の場に動く。

荷の宛先は、東京都古書籍協同組合南部支部

五反田にある。週末の売り出しに、よく通ったなぁ。初めは日本家屋だったのに、20年ほど前にビルになった。なんとなく、昔住んだ家を訪ねるようで気分になれない。

でも、また行きたくなるんだろうなぁ。10割りの売値で買って、1割りの値段で引き取られる。

寺久保エレナMY FOOLISH HEART