ゲンズブール兄さんはコメントしない
ゲンズブールが、歌手とは知らなかった。「ノーコメントbyゲンズブール」。
知っていた仕事は、作詞作曲。
知らなかった仕事は歌手以外にも、カメラマン、小説家、映画監督、画家。とにかく女の子にもてたので、音屋をうらやましいと思い込んでいたら、もてる仕事をみんなやってた。
※やったからって、もてる保証はない。
コマーシャル写真をやる「カメだっち」と、酷暑の10時半に渋谷に出る。映画の始りは、コンサートのシーン。
前に「ゲンズブールと女たち」を見る。人生を彩る女たちが次から次に出てきた劇映画。それをドキュメンタリーに期待してた。全然違う。
20〜60代の折々の言葉をつなぐ。タイトルに「ノーコメント」とあるから、言葉はすべて「それが何なのさ?」という意味。「ま、いいか」ということ。
マイクを向けられる直前に、新聞ダネの何かをやらかして答えた言葉集。
「愛されたくないが、愛されたい」で終わる。兄さんは複雑です。コピーライターには書けません。わかりやすくないから。
ロシア系ユダヤ人の出自。親父にひっぱたかれながらピアノを習った少年時代。建築の学校に通いながら、キャバレーで演奏を始める。
ボリス・ヴィアンのライブで、音のDNAが一気に開く。
フランス語の音って、根っから詩だよな。
B.B.の「ボニーとクライド」も知らなかった。
「セルジュ・ゲンズブール写真集」P-Vine Books刊のサブタイトルがふるってる。「馬鹿者のためのレクイエム」。レクイエムは、うつけ者になくてはならないよ。