ケンメイ兄さんの二流は、一流だ

「デザイン活動家 ナガオカケンメイ」。

今は実際にデザインをやってないから、活動家という肩書きにしたのだろうか? 

たとえば、山本寛斎さんはデザイナーというより、イベントで知られる。佐藤卓さんは、TV教育番組で知られる。はみ出しちゃうから、「何屋なの?」と呼ばれる。

この、何屋かわからない人が好き。

実際の仕事は、ルーティンだから飽きるでしょ? そこに肩書きが付く。おさまりが、いい。八百屋は野菜。魚屋は魚。でも、おつりをお客にあげながら、「今夜は、貸しスタジオでバンドの練習だ」と考えてるでしょ。

それが、ノーマル。

ケンメイ兄さんは、グラフィックデザイン「だけ」をやることに居心地が悪かった。Macをいじるだけじゃ、退屈だった。

どんどん、やりたいことに飛び火する。

1960年代に生産された物への郷愁。使い捨てをやめたほうがいいと、ロングライフ商品に傾く。地方にもデザインを意識した活動や施設や商品があるはずと、旅に出る。

「二流でいこう」集英社刊。

彼の師匠は、原研也さん。確かに、一流。比べて自分は二流であるポジション。でも、それはデザイン業界内の話でね。ちっとも二流とは思えない。

はみ出す人はどの業界にもいて、むしろ、革新は他業界からの新規参入のほうが多いくらい。「物売りなんか始めやがって」と噂するデザイナーは、三流です。

D &DEPARTMENT、ヒカリエの8/、design travelどれもおみごと。

装幀は寄藤文平さんに依頼。タイトル「二流でいこう」の右に「一流の盲点」、左に「三流の弱点」。すばらしい。自分で装幀しなくて、正解だった。

三文オペラ