77の刑務所を遍歴するひとみさん
妻の散骨のため、富山から九州へ向かうロードムービー。「幸せの黄色いハンカチ」パート2。「ハンカチ」では服役した男、「あなたへ」は刑務官。
刑務官は、放射状に広がる刑務所の真ん中に立って監視したり、点呼でドアの小窓を開けて確認するのが仕事と思ってるでしょ?
府中刑務所の文化祭では、全国の刑務所で毎日作られる製品を売ってた。「作業品」という。
とにかく、労働してるのだった。懲らしめのために役立つことやってた。懲役。
刑務官役の健さんがやってたのが、神輿を作る作業場の係。富山刑務所の神輿は、二尺寸法のもので240万円。売り出し機会に、町内会長あたりが買いにくるのだろうか?
文化祭では、刑務所の中に入るバスツアーもあった。これが大人気で長蛇の列。次回、次々回も列であきらめた。
写真集「ニッポンの刑務所30」光文社刊。たっぷり、何回もページをめくる。
府中刑務所は、日本最大の刑務所なんだ。一方、日本最大の刑事施設は東京拘置所。日本最古は、奈良少年刑務所。明治41に完成し、観光客が「奈良ドリームランドですか?」と見間違える。
八王子にあるのが、医療刑務所。岩国にあるのが、女子刑務所。市原にあるのが、交通刑務所。東北にある少年院。横浜刑務所には、暴力団多し。ここで作られたうどんは、文化祭で買った。スジの人からもてなしを受けた気分。
著者の外山ひとみさんは、刑務所遍歴25年。川越少年刑務所篤志面接委員をやってるくらいだから、受け入れる度量の深さがたいがいではない。
精神を竹刀で鍛え上げた面構え。
それを出版した、光文社の槌谷昭さんにも枯れぬ編集者魂があった。
塀の内でも外でも、ちゃんと勤労しよう。