8日は宮崎駿監督の花道になるか
宮崎駿監督が引退表明。
最後の長編作が、最初に見たアニメということになる。それも「音だっち」ツネツネに誘われたものだから、積極的ではない。
ダメな理由は絵です。ノスタルジーを感じず、ただただ、日本が貧乏だった時代を思い出させてファンタジーに感じない。引退を惜しむ声しきりだから、僕はマイナーでしょ。
テレビで「風立ちぬ」の制作過程を見る。
とにかく疲れていて、「めんどくさい」を連発する。アニメなるもの、5分間の映像に1年半の人手がかかる。ほんとに根気のいる仕事。映像機器が発達しても、省力化できないんだ。
監督、昭和16年生まれ。ということは、パールハーバーの年。終戦時は4歳。当然、戦争のリアルはないよね。でも、零戦設計者の堀越二郎をとりあげた。
そこに、「風立ちぬ」堀辰雄。かけ合わせて、若妻は「あなたは生きて」と最後の言葉を残す。明らかに、零戦の物語ではない。戦争の道具を作る夫は、どこにでもいる市民。
それをファンタジーに描けるのは、昭和16年生まれで総括するには幼過ぎるから。
5月に藤田嗣治のイベントに参加した。日比谷図書館「挿絵本の黄金時代と藤田嗣治」。好きです、Foujita。海野弘さんの講演は、本で読んだようなことばかりで退屈だった。
いっそのこと、控えていた林洋子さんの話を聞きたかったよ。彼女の「藤田嗣治 本のしごと」集英社新書刊は、装丁・挿絵に特化した内容だから。
藤田といえば、戦争中に描いた絵が戦後に断罪されて日本に居られなくなる。時に50代半ば。
玉砕辞せずの敢闘画に、どれほどの罪があるのだろう。指弾した連中に言ってあげたいよ、「恥しらず」。堀越二郎、右に同じ。ただのエンジニアにすぎない。ロマンやメルヘンじゃなく。
宮崎駿監督は、ファンタジーという商品づくりに疲れたのかもしれない。72歳は、老人だ。
9月8日、2つあります。一つは、ベネチア映画祭で金獅子賞の発表。も一つは、群馬県・藤岡市の藤岡歴史館で「堀越二郎の軌跡」展最終日。