卒業試験に応援歌を書いた奥村さん
今でもあります、「喫茶らんぶる」「珈琲王城」。スタバやタリーズの客筋とは違う。
懐かしい、と思って入る客。こっちのほうが落ち着く、という客。スタバに飽きて、レアものウォッチャーの客。1960〜70年代の喫茶店の主流が、この手。
中学校の同級生・富岡くんからもらった本を読んで、浮かんだのが街の風景だった。
「バカのしおさめ」奥村嘉章著。自費出版本。我が身を振り返って「あまりにも愚かなるわたくしの行いを深く反省し、子々孫々に書き残す」ために上梓した。
「だが、後悔はしない」とあるから、愚行にもプライドがある。
奥村さんは、富岡くんの大学時代の先輩。2人で「よく遊び、よく遊び」した。よっぽどウマがあったんだろう。
日大の文化サークルの集まり、文化団体連合会。執行部がやっていたこと。
・駅頭で文団旗をひるがえし、日大節のタコ踊りをする
・ラーメン屋に、食いもしないラーメン13杯を注文して出前持ちを困らせる
・焼き鳥に唐辛子をたっぷりまぶし、酒をコップ一杯飲んで町内をマラソン一周
・仲間の一人が電車に乗ると、ホームに残った連中は万歳三唱、または土下座して見送る
毎年、男子学生が100名以上参加する合宿。今後の文化活動はどうすべきか、は討議せず。空気がいいから、やたら腹が減る。
食堂に用意されているお変わり飯は、たったの5〜6膳。
手順1 まず、小食な奴の隣に坐る。自分の飯の半分を、そいつに預ける
手順2 残った半分の飯を、タクアン3切れとみそ汁でかっこむ
手順3 ダッシュしてお変わり1膳をゲットし、席にもどる
手順4 隣から半分飯を回収し、今度はおかずと共に味わいながら箸をすすめる
文団連OB会の入会の儀式もいい。
儀式1 巨大クリスタル灰皿を用意する
儀式2 おもむろに、ビールをお酢を注ぐ
儀式3 一人一人、ショーユ・ソース・唐からし・コショウなどで味つける
儀式4 新入会員が飲み干し、感想を言う。「けっこうなお手前で」
あれから40余年。学生街から雀荘がなくなった。同伴喫茶(エッチなネーミングだ)もない。老いた野獣が口を開けば、「また、同じ話を」と相手にされない。
「珈琲王城」のレジに、「自費出版、引き受けます」とPOPを立てれば、大量受注まちがえなしだろう。