だまし絵から不可能モーションへ

真面目なノーベル賞に対抗して、真面目にお笑いを追求する研究にも光をあてようというのがイグ・ノーベル賞

日本は7年連続受賞で、しかも今年は「医学賞」と「化学賞」とダブルでめでたい。

「医学賞」は、帝京大の新見准教授。実験マウスに心臓移植後、オペラ「椿姫」を聴かせると10倍以上鼓動を続けた。

「化学賞」は、ハウス食品の今井さん。タマネギを切ると涙が出る。催涙成分をつきとめて、泣けないタマネギを作った。

新見さんはマウスの着ぐるみでスピーチし、今井さんはタマネギ持参で登壇して笑いをとる。

「だまし絵のトリック」化学同人刊を著いた杉原厚吉工学博士も負けてない。

参加したのは、Best Illusion of the Year Contest年間最優秀錯覚コンテスト。錯覚作品を競う。

書類審査を通った10人がフロリダに集まり、各自5分で新作発表する。

博士の「なんでも吸収四方向すべり台」は審査が通った知らせと共に、錯覚コンテスト祭りの注意事項が書かれていた。「プレゼンを学術発表の場にしてはいけない。エンタテイメントである。冗談を言ってるのではない」。

これが「なんでも吸収四方向すべり台」。

はたと困った博士。アイデアが浮かんだ。

「私は炭坑夫です。ここだけの秘密ですが、最近、超磁石を掘り出しました」。坂の上に向かってころがる玉が、「超磁石だ」という見立て。

かみさんの制止をよそに、オレンジ色のシャツと半ズボン購入。ヘルメットも買ってヘッドランプを取り付ける。ツルハシ、これは段ボールで自作。

プレゼンを練習してると「白タオルを首に巻くといいんじゃない?」と、かみさんものってきた。

かいあって、フロリダでみごとに優勝。

だまし絵の王様・エッシャーも思わず二ヤリとしただろう。

ヨハンシュトラウスの「加速度ワルツ」。