鉄は、とうの昔からリサイクルしてた
長崎の軍艦島が世界遺産に立候補した。ツアーがあって、上陸もできる。ということは、映画のロケなんかにも使われるんだろう。
現状を写真で見ると、重機で壊したとしか思えない荒廃ぶり。
かつての石炭採掘場。地下坑道には入れないのだろうか? エネルギー供給が石油になって、1974年に閉山。そんな昔じゃない。
掘り出した石炭は、製鉄用に使われた。八幡製鉄に運ばれたか?
「建材工場」エクスナレッジ刊。
工場萠という言葉が流行したのは10年ほど前。原料を加熱したり冷却したり。発生する気体・液体・固体を逃がしたり貯蔵したり。
むき出しの装置が、なんとなく人体内部を彷彿とさせる。また、宇宙に浮かぶ衛星に飛躍する。そしてもちろん、夜間なら「取引」のノワール現場。
エクスナレッジは、主に建築本を出す。この写真集も建材全体を取り上げる。換気扇・キッチン・トイレの工場。でも、これは家庭用品のニュアンスがあるから、やさしい。
比べて、断熱材・塩ビパイプ・ガラス・鉄工場となると、量感質感が違うからのめり込む。
西山輝彦さん写真。内田信平さん文。
製鉄は、2種類あった。
鉄鉱石から高炉で作るのが、鋼スチール。炉内1200度の熱風は、石炭ならぬコークス。続いて1600度の転炉、ここまでは熱すぎるお湯状態。そして、冷やされて900度の塊スラブになる。
最後に、1200度に加熱されて圧延される。そば粉をのし棒で延ばすようなもの。元のスラブの長さが9m、あれよあれよという間に100倍延びて940m。厚み2.3mm。
建設現場で見かける鉄筋は、別種の製鉄だった。先ほどが「高炉メーカー」なら、こちらは「電炉メーカー」。電気の炉。
溶接と同じアーク熱が3000度で溶かす。溶かされるものは廃家電製品、空き缶、切削くず、解体建築の鉄骨など、なんでもかんでも。
東京タワーの鉄骨を思い出す。あれ、朝鮮戦争を闘った米軍戦車が原料と読んだことがある。電炉でやってたんだね。すべて高炉と思い込んでた。
それにしても、書きながら輻射熱で顔が熱くなってきた。