訳も挿画もデザインも一新「アリス」
青春まっさかりの草間彌生さん。ますます燃えてる。
「不思議の国のアリス with artwork by 草間彌生」グラフィック社刊。
原作は、もちろんルイス・キャロル。100カ国以上に訳されている名作。日本人に限っても、何人が翻訳に挑戦したかわからない。子どもには、童話。大人には、SFであり夢想譚でもある。
テニエルの挿絵がストーリーを忠実になぞっていた。白ウサギとか、トランプのクイーンとかキング。
誰もが、「私のアリス」を解釈したり、人形劇にしたり、映画にしたがる。
今回は、楠本君恵さんの新訳と、彌生嬢の描きおろし。それを、ポサベックが大胆にデザインした。
こんな「アリス」は見たことがない。
・お姉さんと一緒に土手に坐っていたアリス。暖かい日で、アリスはボ〜っとしていた。突然、ピンクの目をした白ウサギが走っていった。「困った、大遅れだ」と独り言を言いながら。
・生け垣の下にある大きなウサギ穴に飛び込むところを見た。アリスも後先を考えずに、穴に飛び込んでいった。
ルイス・キャロルは数学者だった。いわゆる、童話作家ではない。加除、大小、分数の構造が、ストーリーに飛躍を生む。
水玉や矩形がモザイクされた挿画と本文の文字組の変化が、文脈とピッタシ合うのだ。
ここにきて、「私がアリスなんだ」と彼女は叫んでいる。
装丁は、TAKAIYAMA inc。久しぶりに布装丁を見た。
R.kelly 。