実子さんに「花をたてまつる」

TV「徹子の部屋」で、芳村実子さんを見る。きれいな人だ。急いでカメラを手にする。

芳村真理さんの妹。姉さんほどハデ顔ではない。向田邦子さんと同じ、普通さが際立って美しい。演技中の彼女は、「配役が本人か、本人が配役か」というくらい自然。普通ビューティ。

前の晩に「石牟礼道子 魂の言葉、いのちの海」河出書房新社刊を読んでいた。「KAWADE道の手帖」シリーズの一冊。

ノンフィクション作家に推薦図書を訊けば、3人の内1人は必ず彼女の「苦海浄土」を挙げるだろう。有機水銀中毒の水俣病受難の人間と風土を描いた。

・自分が人間であることの嫌悪感に、絶えがたかった

「花をたてまつる」という詩も著いた。

・春風萌すともいえど、われら人類の却塵いまや累(かさ)なりて、三界いわん方なく昏し

声なき声への愛情が、「姉的表現」といわれる。「巫女的」ともいわれる。念ずることが「楽器的」でもある。時間を逆へ逆へ生きていく、あきらめの暗闇。

ところが、どっこい。「可哀想」を著く彼女自身は、無邪気な笑顔があんぱんのように可愛いんだ。

表紙、本橋成一さん撮影の写真を見よ。

芳村実子さん、「花をたてまつる」を映画化して主演してほしい。

ジョバンカ