種をまいてた、漱石の猫の家
新潮社のクレスト・ブックが、発刊15周年を記念した無料小冊子を未だ捜索中。あきらめきれない。
「置いてないだろうなぁ」と思いながら、それでも本屋を見つければ入って尋ねる。「当店には、これしかありません」と渡されたのが、岩波書店10月の新刊案内冊子。
くれるものは、なんでももらう。
今年は、岩波書店創業100年。マークは、よく目にする。農夫が、肩から下げた袋から種をまいてる姿。あれ、創業時に作ったかどうかはさておき、高村光太郎のブロンズレリーフが元だった。
教養の種をまこう、という趣旨。創業の精神にもどろうとレリーフが冊子の表紙を飾る。
創業百年記念文芸として、平田オリザ著「新しい広場をつくる」が紹介されてた。創刊20年の岩波科学ライブラリーから「スズメ」が気になる。岩波新書からは「かつお節と日本人」「辞書の仕事」「ボブ・ディラン」。
サブカル人生の身には、「岩波が好き」と言うのは照れる。でも、夏目漱石の本は自著装丁した岩波版で読むのが気分が出る。
「木曜会」を開いて、三々五々に集まった若い弟子たちと雑談していた時代。シーンが「猫」に書かれる。登場人物たちのモデルは森田草平、鈴木三重吉、芥川龍之介、内田百輭ら。
漱石が「猫」を発表したのは、38歳だった。この若さで、これだけ面倒見がよかったんだ。なにかと掛りが必要だったろう。悪妻伝説は、こうして生まれたのかも。
自宅で週一開いた文芸カフェ。