本棚を整理するのは、売る時だ

「本」本(ほんぼん)は、今までに何冊読んだか知れない。

書評の本、集書の本、愛蔵書の本、装丁の本、活字の本、古本屋の本、ブックフェアの本、本で町おこしの本。

たぶん、同じようなことが書かれてるだろうと思っても、また読む。「私の本棚」新潮社刊。

名だたる読み手・書き手が23人登場して、蔵書自慢&悪戦苦闘ぶりを語る。

まず、蔵書数について。棚からあふれた本が、リビングルームやトイレや階段にも広がり、山脈をなし、崩れて吐息をもらすさま。

系統別分類、版型別分類、使用頻度別分類、お気に入り別分類、ぐちゃぐちゃ放置のさま。

スライド書架が動かなくなる、床が抜けるなど建物の構造のさま。

彼らに「全部、読んだんですか?」と訊くのはナンセンスなんだ。入手することに意義がある。買ったら、あとは読まない。

鹿島茂さんのように、蔵書を一部屋にまとめスタジオとして時間貸しするケースもある。100年貸しても、フランス古書購入費には追いつかないだろう。こういう浅知恵が、本読みの哀しいところだ。

気持ちは、わかる。

都築響一さんは、引き取る古本屋が選り好みするのにハラを立てて、自分で古本屋を始めた。

気持ちは、大いにわかる。売れてほしい。

でも売り切れずに、大部分は在庫のままだろうな。とどのつまり、購入金額の10分の1で古本屋に引き取ってもらうことになる。

先月、古書をすっかり整理して、気分がスースーしている今日このごろ考える、僕の理想の本棚がこれ。

移動自由のキャスター付きワゴン。スーパーで納品に使われるやつ。ちょっと荒くれてて、いいでしょ?

シェリル・クロウ