ワシは退屈じゃ、と叫ぶじいさん

2014年の春夏コレクションが、10月初旬に終了。

ニューヨーク、ミラノ、パリ。菊地成孔さんの本を読んでから、ファッションショーが気になる。

「服は何故音楽を必要とするのか?」INFASパブリケーションズ刊。

「『ウォーキング・ミュージック』という存在しないジャンルに召還された音楽達についての考察」というサブタイトル。

おとなしくサックスを吹いてりゃいいのに、大学で音楽学も教える。何ごとも、むりやり理論化しなきゃいけない。それに、ファッション論考は初めてだから、てさぐり感があった。

ぶっちゃけ、すかした文章。でも、ウォーキング・ミュージックという目の付けどころはすばらしい。

音の専門家は、歩きの音が気になったんだね。

ショーのランウェイを歩くモデルたち。どなたさんも「なんか、文句あるの?」顔。ツカツカ歩くモデルにかぶるダンスミュージック。一言でいえば「ズレ美があるね」ということ。

昭和30〜40年に流行った「ムード歌謡」が、兄さんの原点でしょう。

音楽療法を考える」音楽之友社刊。

障害や疾患を治すための音楽療法。よくあるのは、老人ホームで「ちょうちょ」や「春の小川」を唱和する活動。なんだかなぁ? と誰もが首を傾げる。

で、著者の若尾裕さんは音楽の源にふり戻った。

神経学、言語学、人類学、動物学、病理学、精神学、民族学、鳥類学、考古学、行動学。並べると、確かに音楽は横断してることがわかる。

菊地成孔著「官能と憂鬱を教えた学校」河出書房新社刊も紹介してた。

将来のおじいさんに「春の小川」は退屈すぎる。音楽療法には官能と憂鬱を教えるファッションショーVTRがいい。