古書バンゴブックスのファンです
「たしかに、ここら辺にあったはずだが」と、1軒1軒目で追う。
ブログを書き始めたころに、散歩した谷根千地域の通称「へび道」。せせらぎを暗渠にしてるから、うねってる道。ありました「古書 バンゴブックス」。その時は、開店そうそうで、まだ棚に本を並べている最中だった。
「2年ほど前になるでしょう」と、再会した店主の田中大介さんに言われる。そうそう、甥っ子と同じ名前だった。本棚というのは、読む本であれ売る本であれ人柄が出る。
好きなんだ、品揃えが。
何と言うんだろうか、つまり「すき間本」。
よるべない気分の時に、心のすき間に入ってくる本。他人がどう思おうと「捨てられない一冊」っぽい本を並べる。
壁に猫のポスターが張ってあった。いわく「死にたくなったら ふる本やにおいで。生きてなよ あんた」。2年前には無かったはず。田中さんの経歴は知らず。この心境で、古本屋を始めたのだろうか。
背表紙を眺める。
リビアのカダフィ大佐がクーデターで政権を掌握し、革命児となって脚光を浴びる。その時の本が棚にある。
「アラブの春」で政権を追われる。「彼が死んだ時に『売れる』と思ったんですけど。死んだら、誰も買わなくて」在庫中。この辺のヨミのゆるさが泣けるだろ。
ちゃんと、かみさんもいることを知る。ちゃんとした、かみさんなんだろう。いえ、本人がちゃんとしてないという意味ではないからね、断じて。
棟方志功「板極道」中公文庫刊を買う。100円玉と10円玉と5円玉を合わせて300円。なんだか、猫が支払ってる気分だった。