ざっと、チェコアニメのおさらい
老舗映画雑誌「キネマ旬報」では、アニメを取り上げるのだろうか。
チェコには50年以上続く「映画と時代」という雑誌がある。自国アニメーションの評論や作家たちへのインタビュー記事が1950年代から掲載されていた。
「チェコ・アニメーションの世界」人文書院刊。原書は「映画と時代」のアニメ記事をまとめたものだから、流れを総覧できる内容。
1991年にソ連崩壊以前の記事が8割り。
ガチガチの冷戦時代に活躍したイジー・トルンカ、カレル・ゼマン、ヤン・シュヴァンクマイエル、ルポミール・ペネシュ監督たち。
アウレル・クリムト監督は2003年の記事に出ている。
冷戦終了とともに、ソ連東欧のグッズがあふれた時期があった。カメラ、文具、雑貨。日本でのチェコ・アニメ公開も一連の流れだったのか。
日米のアニメに食傷気味だったから、ちょっとしたブームになる。
まずテーマの素朴さが新鮮だった。東欧の民話・神話・寓話・おとぎ話。不条理なユーモアとか、空想的なリアリズムとか、魔術的な比喩。
人形で動かす、粘土が動く、身直な道具で表す。モンタージュのアニメもあった。機械じかけの象なんてのもあった。
大時代の素朴さ。
今でも、第2次大戦以前の町を実写映画で撮影するには、東欧にロケする。町だけじゃない。部屋の中の家具、カーテン、机。一つ一つが凍結された時代のデザインで、絵本を見るようだった。
上間綾乃。