届く規模に合わせるデザイン

すがたカタチに反応する人々がいる。しかも、小学生時代から。

玩具だけでなく、ガムの包装紙、ガラス食器、古着、くじ。それも外国のものばっか。集めるだけでなく、ディテールをノートにスケッチする。

第2次大戦時のアメリカ陸軍航空隊の部隊別胸章、要するにバッヂのスケッチが残ってる。少年がどれだけ熱心に見てボールペンを動かしていたか。

「デザイン = ソシアル」ワークスコーポレーション刊。

山梨生まれの柳本浩市少年、長じてデザイン会社を設立。直接デザインをするのではない。ライセンスビジネスや版元、プロデュースやキュレーションをする仕事。

物の色や形のおもしろさから出発して、それが社会とどうつながっているかに興味が移る。

スープ専門店「スープストック」遠山正道社長との対談にうなずく。

三菱商事時代に「スープ屋をやりたい」と社内起業に手を挙げた彼。「商売になるのか?」という声を尻目に大成功。

永年「なんでこうなっちゃうのか?」という思いがあった。社内事情で、社内言語しか使わない人々への疑問。「もっと、ちがう組み合わせがあるんじゃないの?」。

そのピースの1つに、デザインを活用した。

そして、10年が経つ。「でも、デザインだけでこれからも引っ張っていくには、無理がある」とも。

レストランや飲食店がデザイン性をもっている、のはあたりまえの時代。事業を「何のために、やるんだっけ?」と初心に戻ろうとする姿勢。

「見た目かっこよく販売してる店より、商店街の金物屋さんのほうがすごいんじゃないか、と思うことがあります」。

スモールビジネスのたしなみが、マーケティングより共感される時代なのか。

青葉市子