真似て、オリジナルをつくる
歌舞伎座では、11月と12月に配役を替えて忠臣蔵をやる。もう、冬だね。
あまりに人気があったので、忠臣蔵には「外伝」や「銘々伝」まで作られた。もちろん、本筋は「仮名手本忠臣蔵」。長い芝居だから、昼夜にまたがる。通し狂言とは、よく言ったもの。
前に、四谷怪談を新橋演舞場で見た時、忠臣蔵とチャンポンになっていて、どういうわけなんだ? と混乱した。
初演時には、2つの芝居が2日がかりで組み合わせ公演されていたのだ。
お岩さんの亭主、色男の田(民)宮伊右衛門は傘張りなどバイトをやって、その日暮らしの浪人の身。実は、吉良家断絶の後、四十七士に加わらずローンウルフになった。
それを四世鶴屋南北「東海道四谷怪談」大ヒットで、単独の芝居と見られるようになった次第。
「実録四谷怪談 現代語訳『四谷雑談(ぞうだん)集』」白澤社刊。
南北の作劇には、先行して「四谷雑談集」があったのだ。町の噂話、伝説、風聞、巷説、奇談を集めたもの。必ずしもノンフィクションとはいえない「実録小説」。
葛飾北斎もお岩さんを描いた。画狂と言われたくらいだから、我が道の人と思うでしょ?
鍬形恵斎(くわがた けいさい)いわく、「俺の真似ばっかりしやがって」と、北斎をなじったらしい。
ことを最近知る。